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1.はじめに ・
燃焼や火災の分野において化学種濃度の測定は,非常に 重要な問題である.通常,燃焼研究では濃度測定にガスク ロマトグラフィーとガスサンプリングが一般的に使用され ている.この方法は点計測であり,サンプリングガスの濃 度平均値を測定できるが,比較的緩慢な現象にしか適用で
きない.一方,マッハツエンダ一法やホログラフイー干渉 (HI) 法などの光学的測定法は,リアルタイムで現象に 追従できるだけでなく,非接触測定なので測定場を乱さな
いという特徴も備えている. 本報告では,光学的測定法として HI法を取り上げ,液
体燃料表面から蒸発する燃料蒸気への適用について述べる. 内容は,干渉縞からの蒸気濃度への変換方法,測定誤差の 算出方法などの基本的事項について述べる.
2.干渉縞から濃度への変換方法
2.1 干渉縞の解釈方法
HI法 は , 屈 折 率 の 変 化 に よ る 干 渉 縞 の 変 化 に 基 づ い て
お り , 屈 折 率 は , 試 料 温 度 , 試 料 濃 度 , 試 料 変 形 に よ り 変 化する.アルコール燃料からの燃料蒸気の蒸発を取り扱う 場合, ‘試料変形はなく,燃料温度と周囲空気温度を同一に
しておけば,濃度変化のみを考慮すればよい. 気体の屈折率は Gladstone-Dale (G-D) 式により次式で
表される.
n-l=κρ (1)
ここで, nは屈折率, κ・はGladstone-Dale定数, ρは密 度である.
TadashiKONISHI, SyujiNAKA KatsutosiKATO
ここで, ajはi成分の質量分率で、ある.
い ま , 空 気 と 燃 料 蒸 気 の 二 成 分 系 を 考 え る と (2)式 よ り , 次のようになる.
多成分系混合気に関しては次式で表わされる。 κ a iICi
機械工学科
(平成 8年 9月20日受理)
(2)
する.
ρa=Map,IRT, ρ叩 =MaP.o/RT, ρr=Mrp/RT また, ρ ρ r+ρ aより,
P.o-p,IPr=M,IRT(p.o-p.)/(M/RTPr) = M,IM/ (Pao-P.)Ip/
= M,IMf
従って ,(4)式は, (5)式に簡略化される. dn=(ICf-M,IMfκ .)Pf (5) ここで,燃料蒸気のみの密度をめ,モル分率をじfとする
とPfは次式で、表される.
Pf=P'fCr (6) 上式の関係より (5)式は以下のようになる.
dn=( κ f - 4 7 h ) P 1 C f ( 7 ) また,屈折率の変化は以下の式によって縞次数と関係づ
けられている.
A争i三N(Yi)A (8)
大分工業高等専門学校研究報告 第3号 (平成 9年 1月) 9
ホログラフイ干渉法による液体燃料表面上の 蒸気濃度分布の計算方法
小西忠司那賀修 加藤勝敏
Amethodofcalculationtodeterminevaporconcentrationprofiles overliquidsusingholographicinterferometry
n-l=κρ
= (a.κ.+a/κ/)ρ
ρPr =(一~IC .+ーよ κ/) P
Pρ
=ρ.IC.+ PrκI (3)
ここで, 人, ρfは,それぞれ空気と燃料蒸気の質量濃 (massconcentrationoffuel:goffuelcnfofmixture),
度
IC., CIrは,それぞれ空気と燃料蒸気の Gladstone-Dale定
数である.
基準状態で空気のみの屈折率を no,燃料蒸気がある場
合の屈折率を nとすると屈折率の差は, (4)式で表される. dn=n-no
=(Paκ a十P/κ/)-(P.oCIa十 0) =prlCr一(Pao-P.)κa
=(κf一 (P.o-P.)IP/κa)P/.
(4) 空気および燃料蒸気を理想気体と仮定すると次式が成立