Page 173 - Tsubomi
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    ギウレーノーイ村(チェンマイ県サンパートーン郡)
ギウレーノーイ村は仏教を信仰するラーンナー族の村で、仏暦 2497 年(西暦 1954 年)にブンミーという人によって開村された。ギウレーノーイ村は不毛の土地で、 さらに交通の便が非常に悪い。当時、住民たちの多くは日雇いの職につかざるを得ず、農場の労働者になる人もいれば、村から遠く離れた場所まで出稼ぎに行かな ければならない人もいた。ブンミー自身も資産は無かったが、両親から受け継いだ彫刻の技術があったので、家族を養うためにチーク材から象の彫刻を作ることを 始めた。これが村中の人々に広がり、今日では象の彫刻作りは農業と並ぶギウレーノーイ村の主要な産業となった。 ギウレーノーイ村の村民たちが象の彫刻を作るのに、チーク材を好んで使う理由は美しく、彫りやすく、さらに木喰虫や白蟻への耐性があるからである。また、象 がモチーフにされたのはラーンナー族の生活に馴染みのある土着の動物だからである。現在、チーク材の量は減少しており、価格も高騰している。そのため、ギウレー ノーイ村の村民たちはチーク材の代わりに性質が似ているネムの木やジャックフルーツの木を使うようになっている。 現在ではギウレーノーイ村は世代を超えて受け継がれてきた熟練した彫刻技術によって製造された家具や装飾品の製造拠点となっている。自足経済哲学に則った集 落の持続的な産業の形成に寄与する文化資本ともなっているのである。
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