Page 183 - Tsubomi
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    クンワーン・ロイヤルプロジェクト地区(チェンマイ県メーワーン郡)
クンワーン・ロイヤルプロジェクト地区は、平地住民(ムアン族)やカレン族、モン族などの様々な慣習と文化をもつ民族グループで構成され、それぞれの言語や 習慣などのアイデンティティを維持しながら互いの習慣や文化を調和させ、平和に共生している地区である。昔、この近隣の集落で麻薬植物であるケシを好んで栽 培していたことから、仏暦 2525 年(西暦 1982 年)にラーマ 9 世がクンワーン村に行幸された際に、集落開発のご意向を述べられた。そのお考えでは、ケシと同 等かそれ以上の収益を得られる代替作物の栽培推進のための地域組織を設置する方針を示された。そこでロイヤルプロジェクト財団によってタイ北部上部地域の山 地民族の生活の向上のための機関が設立された。現在、クンワーン・ロイヤルプロジェクト開発センターは、7つの村を含むおよそ 264 km²を統括しており、開発計 画や助成を受けている人は 380 世帯、2,005 人。農業開発に対する支援は野菜・果物栽培、さらに寒冷地原産の花の栽培に及んでいる。 さらに野菜栽培の他にクンワーン・ロイヤルプロジェクト地区に住んでいるモン族は「ガンチョン」と呼ばれる大麻の一種で、麻薬成分が大麻より少ない植物の栽 培支援を受けている。この植物はモン族の生活に 3,000 年以上も関わってきたものである。モン族文化のなかでは、ガンチョン繊維は祖先が中国に住んでいた時代 から、布を織る材料として加工し、宗教儀式や日常生活で着る服として用いられてきた。ガンチョンの栽培は種から成長するまでおよそ半年間かかる。成長した後、 村民は雄の茎を乾燥させ、繊維に加工する。雌の茎からは次回以降の栽培のために種を集めておく。
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