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C A M植物のショ糖ホメオスタシスモデル 大 分 大 学 0 )1 1崎 圭 亮 末 光 治 雄 松 尾 孝 美 大分工業高等専門学校 小西忠司十時優介
ModelingofofSucroseHomeostasisinCrassulaceanAcidMetabolism 本K.Kawasaki,H.SuemitsuandT.Matsuo,Oitauniversity T.Konishi,Y.Totoki, InstituteofNationalCollegesofTechinology,OitaNationalCollegeofTechnology
Abstract Themechanismofendogenouscircadianphotosynthesisoscilationsofplantsperform- ingcras叫 aceanacidmetabolism(CAM)isinvestigatedintermsofanonlineartheoreticalmodel. Blasiusetal. usedthroughoutcontinuoustimedi百'erentialequationswhichadequatelyreflectthe CAMdynamics. Satakeetal. haverecentlyreportedtherelatioshipamongstarchbreakdown, sucrosehomeostasisandcircadianrhythm.Inthisreport,weembedthesucrose-starchdynamics intotheCAMdynamicsandcomparethesucrosehomeostasisinCAMplantswithAbabidopsis plantsbythecomputersimulation.
1 まえがき
植物の光合成には, C3型, C4型,およびCAM(Cras-
ベンケイソウ型有機酸代謝)と呼ばれる乾燥環境に高度
に適応した炭素代謝機構を進化させている. Blasiusら
は, 1つの細胞の生体時計の機構を 4次の非線形微分方
程式としてモデ、ル化している.このモデルでは ,1つの '
細胞の 3つ反応体プール(細胞内の 002,細胞質内のリ ンゴ酸,液胞内のリンゴ酸)の濃度と液胞のリン脂質分 子の表面濃度に対する膜配列の平均値を状態変数の 4つ
の非線形微分方程式を提案し,実験データから各種パラ
メータを無次元量として与え,連続光下でリミットサイ 」
クルが発生することと明暗光の影響,温度変化,膜配列 へのノイズの影響などをシミュレーションにより行って いる [1,2].
また我々は, Blasiusらのモデルにおいて,人工環境
想定した連続光,一定温度条件下で,細胞内の CO2,細 4
胞質内のリンゴ酸,液胞内のリンゴ酸が測定可能とい う条件下で,液胞内リンゴ酸濃度と液胞膜内リン脂質分 子の輸送現象を特定する膜配列の非線形特性を推定す るオブザーパを提案し, MATLABシミュレーシヨ、を 行った [3,4].しなしながら,細胞内の 002濃度は,他 の状態変数よりも将来リアルタイム計測ができる可能 性があるが,現状で計測するのは難しい.このため,現 状でも測定可能で、ある外気からの二酸化炭素取り込み
量である.そこで,外気からの二酸化炭素取り込み量と 細胞内の CO2濃度は非線形代数方程式で関係づけられ ていることから,我々は測定値から細胞内の CO2濃度
を計算する方法を提案し,細胞内の CO2濃度のみの情
報を用い,操作量に外部 CO2,光の強度を用いて,生
体リズムの周波数と位相を制御するフィードパック制御
系およびフィードフォワ←ド制御系を構成した [5].ま 多肉植物は, CAM型光合成 (crasulaceanacidmetabolism?た,さらに,甲斐らの Blasiusのモデルを用いた多細胞
sulaceanAcidMetabolism) 型がある .サ ボテンなどの
結合モデルを,細胞外への炭水化物の流入出が維管束 による細胞間結合であるという仮定に基づき,細胞内の CO2濃度の流束だけに細胞聞の CO2濃度の差がブイー ド、パックされる 2細胞同期モデ、ルを提案し,このフィー
ドパック結合が同期にどのような影響を与えるのかを, MATLAB/Simulinkによりシミュレーションを行った. しかしながら,細胞外への炭水化物の流入出がどのよう な機構で行われているかは,モデ、ル化されていなかった.
最近佐竹らは, C3植物であるシロイヌナズナを例に, 炭素資源の継続的な利用にために植物がどのようにでん ぷん代謝を制御しているのかを実験し,その結果からショ 糖とデンプンの動的モデ、ルを提案している [10,1,12]. 実験では,シロイヌナズナのデンプン量は,明期には時 聞の経過とともにほぼ一定の傾きで増加し,暗期にも ほぼ一定の傾きで減少し,このデンプン量の線形性は 日長が変化しても維持される .さらに,昼が短い環境下 に置かれると,昼間により多くのデンプンを生産して 十分な貯えを準備し,さらに夜の消費速度を遅くするこ とで,1日の終わりまで炭素資源を保持することを行つ ていると大原らは述べている [12]. さらに,提案した数 理モデルでは,光合成が明期に一定速度で進み,その産 物がショ糖とデンプンに一定の割合で分解される.ここ で,ショ糖は呼吸に使われたり,光合成ができない器官 へ輸送される.また,デンプンはある速度でショ糖に分