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                    3784 電極を覆う石炭スラグ層の通電現象とアーク放電特性
XMAにより成分分布の分析を行った.その結果を図 5に示す.通電により,陰極では,イオン化傾向の大 きなカリウム,ナトリウムなどの偏析が顕著に生じて
いる.これに対し,陽極では,アークモードになると, 後述するように電極面上での電気化学現象により生じ る酸素ガスのために,スラグ層が撹持され,成分分布 が均一化される.特に表面近傍にまで電極材料である
クロムが現れるようになり,電気化学反応により侵食 を受けた電極材料が移動してきたことを示している. また両極ともに鉄の偏析は見られなかった.
以上のことより,陰極・陽極上のスラグ内で生じて いる現象を,次のように考える.石炭スラグ中では, 酸化鉄の Feが Fe++から Fe+++になる際に放出する 電子が電荷を運ぶ電子電導性と イオンの移動による イオン電導性によって電流が運ばれると考えられてい る.すなわち,陰極では通電量とともに電子電導のみ でなく,スラグ層内でイオン化傾向の大きい K,Na などがイオン化して正イオンとなり,それに伴い Oー などの負イオンが生じ正イオンは陰極面方向に移動
し,電極から電子をもらって中性化して金属層を形成 する.一方,負イオンは,スラグ層表面方向に移動す る.乙のため,陰極では,スラグ層と陰極表面との接 合が,析出金属層により行われるようになるため,こ の部分の抵抗が減少し電子が陰極から容易にスラ グ層内に移動できる.スラグ層内を通った電子は,溶
融している高温スラグ層表面から,容易に熱電子放出 される.このようにして,スラグに覆われた陰極では, 分極効果により総括的電気抵抗が減少する.
これに対して陽極側では,同様な現象により,陰極 とは逆にスラグ層表面に金属が析出し,電極面上では 移動してきた負イオン Anーが負電荷を陽極に与え
るに際し,陽極の金属 M と反応し, kAn-+mM→MmAk+kne-・........・...・(1)
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(a) スラグのない電極
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図 4 スラグに覆われた陽極の電極降下と電流の経時変化
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(b) 電流
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Time,5 スラグに覆れた電極
図 3 陰極降下の経時変化
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Cathode Y,m m Plasma ナトリウムの分布
(a) カリウムの分布
図 5 XMAによる通電後スラグ層内成分分布
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