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          なる電気化学反応により電荷を交換するばかりでなく 2kAn-→kA2十 2kne-・・・...・・・......・...........(2)
のような単独反応もあり,特に電流値を増加した場合 に明らかに電極表面で発泡現象があることから, 02 などの発生があると考えられる.陽極材料は,このよ うな電気化学反応により侵食をうけ,通電により表面 に細かな凹部が生じる.これに対し陰極では,そのよ うな徴候は見られない.
このようにして電極のごく近傍で, 10"-'30秒程度 の短時間のうちに,陰極では金属が析出して電極との 接合をよくするため総括抵抗が減少し,陽極では反応
(2)により生じた気体が電極とスラグの聞に空げきを 形成し,分極の結果電極近傍に金属イオンが欠除する ため,総括抵抗が増加すると考えることができる.
302 アーク放電領域における電極降下 電極を 覆うスラグ層の電気的特性を表す量として電極降下に つき検討する.ととでは,主流に挿入したプロープ電 位と,電極電位の差から求めた電極降下により比較を 行う.したがって,この値は,スラグ層内の電圧降下 量とスラグ表面のガス側に形成される境界層内での降 下量と和になっている.スラグ表面温度は,スラグの 溶融温度であるため 1400.C前後になっている.この
ような温度範囲では,アーク放電領域で,境界層内電 圧降下は電流によらずほとんど一定となる(均五ら測定 した電極降下量の変化はスラグ層内の電圧降下の変化
分に対応することになる.
図 6にアーク領域における各供試スラグで覆われた
電極の陰極および陽極降下を示す.陰極降下は,フラ イアッシュのスラグ, Fe20a5%添加, K2S0410%添 加の順に減少しており 210"-'260V程度の降下量と なっている.スラグで覆われた陰極では,スラグ表面 が溶融しているため,温度が高く,その分電子放射が しやすくなっているとと,電流値の増減に伴い,表面 に現れるアークの個数が増減すること,などから,実
験電流値の範囲内では陰極降下はほぽ一定値を示し
た.
これに対して陽極では 3・3節にて述べるように,ス
ラグ内でにぶく輝くような性状のアークが生じ,とれ が電極面で生じる電気化学反応によるガス発生と同期
して点滅するため,一定化せず,図 6に示すように, 帯状の領域に陽極降下が散在する.同図の陽極の値は,
フライアッシュのスラグに対するものであるが,他の ものに対する値もほとんど変わらず,同じ領域の中に
散在するので,図示するのを省略した. このように,スラグに覆われた陰。陽極降下は,か
なり性状を異にしていることがわかった.
303 アークスポッ卜の電流密度とアークの挙動
これまで発表されてきたすべての報告では,均一放電 からアーク放電までの電流密度を,通電電流値を電極 面積で除して求めている.そのため,アークそれ自身 がどれほどの電流を担うことができるかに関する情報 がなく,アーク放電領域に対する理論モデルを構築す ることが困難であった.
本研究では, TVカメラにより撮影した画像伝 PCMレコーダにより記録した電流値と同期させなが ら再生し,電極面上に出現するアークの個数と,アー クの寸法を計測し,アークそれ自身が担う電流密度を 求めた.図 7に陰極に同時に出現するアークの総面積 と通電電流値の関係を示す.アーク放電は統計的現象 としての性格が強いため,データはかなり散乱してい る.図中には最小二乗法により決定した線がひいてあ り,この傾きがアーク面積に対する電流密度を与え る.この値も図中に併記した.フライアッシュのみの
スラグ, Fe20a5%添加のものでは,後者がややアー クスポット電流密度が大きいが, K2S0410%添加の ものは,きわだって大きくなっており,他の二つのも
1.5
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図 6 アーク放電領域におげる電極降下
2 4 6 8 10 Arc oreo, 門1打12
0.2 0.4
0.6 0.8
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Arc current,A
電極を覆う石炭スラグ層の通電現象とアーク放電特性 3785
図 7 陰極に出現するアークの総面積と電流
切れ。 ハU
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534 αOQ y25
FRh 十十一























































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