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    が火炎基部から流入する際に液体表面から蒸発した燃料 蒸気と拡散火炎を形成し、燃焼を維持している。一方、液 相内では、僅かな流れが生じているがベクトル線図で表 さ れ る 程 の 大 き さ で は な い (lcm/s以 下 ) た め 省 略 し て い る。図 3 (b)では、液体表面に STFが形成されており、液 体表面から高さ約 lmmの気相部には、液体の粘性によっ て火炎伝ぱ方向に動かされる空気流が存在するo 液相内 でも、 STFによって誘起された渦が形成されている o図 3 (c)では、 STFがさらに強くなり気相部に再循環領域が生 じる。この渦は、液体表面から高さ約 2mm、火炎先端部 から約 6mmに中心を持ち、半径は約 2mmである oSchiler (2)らの二次元数値計算においても、再循環領域が予測さ れており、液体表面から高さ約 O.5mm、火炎先端より約 3mm上流に中心を持ち、渦の半径は約 O.5mmである。
前回の報告 (6)では、液体燃料表面上に形成される燃料 蒸気の濃度分布について述べた。これによると再循環流 が形成されている領域(液体表面から高さ約 3mm)は、 1 プロパノー jレの希薄可燃限界 2.2vol%以上の燃料蒸気が存 在できる o しかし、燃料蒸気が単に分子拡散によって火炎 前方に燃料蒸気層を形成するのか、あるいは、 Schilerら が提唱しているように再循環領域が燃料蒸気層の形成に 必要であるのかという疑問は残されている o
さ て 、 図 3 (d1) (d2) で は 、 火 炎 前 方 に 形 成 さ れ た 可 燃 蒸気層中を火炎が伝ぱし、再循環領域は消滅する。液相内 においても渦は壊れかかっている。
3.2 一様領域
図 4は、一株伝ぱ領域における伝ぱ機構の模式図を示し
ている。一様領域における伝ば機構は、研究者間で既に見 解が一致しつつあるo火炎先端前方に小さな STFが形成 されており、この部分が火炎前方に予混合気層を形成し 伝ばを維持していると考えられる o 図 5は気相内の速度
ベクトル線図を示しており、一様領域では、振動伝ぱ領域 のような明確な再循環流が形成されない。この理由は、以 下の通りである o一棟領域においても、振動伝ぱ領域と同 様に火炎の浮力によって生じた空気流と STFによって生 じた空気流が存在している。しかし、 STFが短いため再循 環流が形成され始めると直ぐに火炎が到達して再循環流 を壊してしまうと考えられる。
4.まとめ
(1)PTLS法によって火炎先端近傍の気相およぴ液相 の詳細な速度ベクトル線図が得られた。
(2)振動伝ば領域においては、火炎の浮力によって誘 起された強制対向流と表面張力流 (STF)によって生じた 空気流が、火炎前方領域に再循環領域を形成する o 再循環 領域は、液体表面から高さ約 2mm、火炎先端部から約 6mrnに中心を持ち、半径は約 2mmであり、 Schiler(2) ら の二次元数値計算と数値的には異なっている。
(3)一様伝ぱ領域においては、明確な再循環領域は形 成されない。これは、燃料温度が高いので STF長さが短 くなり、再循環領域が形成される前に火炎先端部が到達
し、破壊されるためと考えられる。
謝 辞
本研究を行うにあたり、多大のご協力を頂いた大分高専 那賀 修二技官に謝意を表します。また、この研究の一部 は、平成 8年度科学研究費補助金奨励研究 A08750255の 助成を受けたことを記して感謝の意を表します。
参考文献 (1)Ros.H.D.,Prog.Energ.Combus.tSc,.i20,17・63(194). (2)SchiIler,D.N.andSirignano,W.A.,J.Thermophys_Heat
Tnmsfer.,6,105・130(192). (3)Ito.A.etal,COlbus.tfoiame83.375-39(191)
(4) Hirano.T.etal,Combus.tSci.andTech.,22,83・91(1980). (5)Santoro.RJ.etal.Ap.JOptics17,3843(1978).
Gas
図 4 38 5 UJl江町田
X(mm)
24
Fhunevelocity1.2cm/sec 7
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一様領域における伝ば機構
図5 一様領域における速度ベクト政線図
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- 677-
(6)小西他 第3回燃李}シンポジウム講演論文集
359-361 (195).
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