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液体燃料表面上を伝ばする火炎先端近傍の流れ
機正 -小西
忠司(大分高専) 燃機正 伊藤昭彦(大分大工) KOZOSAITO (KENTURCKY大学)
1.まえがき 液体燃料表面上を伝ばする火炎の研究は、火炎伝ば機構
の解明のみならず防災面においても重要であるo さらに、 近年、宇宙開発が進展するにつれて宇宙船における火災 が危急の研究課題となっている o
この問題に関して、現在までに数多くの研究 (1)がされ ているが、未解決課題も多く残されている。特に、日ub' flash 領 域 に お け る 振 動 伝 ば 現 象 は 、 液 体 燃 料 に 特 有 な 現 象であり、その機構の解明が望まれている。 Schilel'ら (2) は数値計算によって、振動伝ぱ機構を以下のように説明
している o 火炎の浮力によって誘起された強制対向流と 表面張力流 (STF)によって生じた空気流が、火炎前方に 再循環流を形成し、この再循環流が、燃料蒸気を蓄積して 火炎前方に可燃領域を形成する。すなわち再循環流の存 在を振動伝ぱの主因としているO 一方、著者らは、 STFに
よって火炎先端前方へ輸送された高温液体表面からの分 子拡散で可燃領域を形成する可能性があること、再循環 領域が存在するとしてもそれが STFに起因していること などから振動伝ぱめ主因は液相側にあるとして図 2に示 したモデルを提案した (3)。この問題を解決するには、火 炎先端近傍におけるガスの速度分布、燃料の濃度分布の 測定が必要であるo速度分布については現在まで、 Hirano ら (4)のス←ク法、 Santoro(5) の LDVによる計測例がある のみで十分なデータがない。そこで著者らは、レーサ'ーシート粒 子追跡法 (PTLS) を用いて振動伝ぱ領域を中心に火炎先 端近傍の気相および液相の速度分布を詳細に測定した。
2. 実験装置および実験方法
図 lに本実験に使用した実験装置を示す。燃料容器は、
幅20mm、深さ 25mm、長さ 250mmのパイレックス製で あり、側壁の板厚は 2mmである o 燃料容器は、周囲の気
Monilor
図l 実験装置
第 34回燃焼シンポジウム ('96,1・広島)
流の影響を最小にして再現性の良い実験を行うために高 さ 1 4 c m 、 l隔 1 5 c m 、 長 さ 3 5 c m の ガ ラ ス 容 器 で 囲 っ た 。
燃料は、 1・7・ロハ・/ールを使用し、燃料容器の一端からハ・ィ ロットフレームにより着火される o 燃料温度は、燃料容器中心、 液面下約 2mmに設置した線径 50rnの CA熱電対により、 周囲空気温度はガラス容器側壁近傍に設置した同種の熱 電対により測定した。
液相内流れを測定するために燃料表面に粒径 10._.20μ Iの7ルミニユ】ム粉末を添加した。気相内流れを jsJ定するため に粒径 3μmのへ・ピーハ.?'j'ーを使用し、エゼクタ一方式の 粒子搬送システムによりガラス容器内に粒子を導いた。 粒子は、燃料の着火前に約 15秒間添加した後、添加によ る空気流が収まるのを確認して後、着火した。また、実験 後、窒素ボンベより供給する窒素により消火を行った。
粒子の運動は、高速度ピテ・オカメラ (2msec!コマ)および ImageIntensifier(シャッタースピード O.2msec)とPTLS法を用 いて撮影した。気相内流れと液相内流れは、カメラの焦点 距離が異なるため、別々に測定した。 Ar'ionレーザーと cylindricalensを用い、気相撮影時は出力 4Wで燃料容持 上方から、液相撮影時は出力 2Wで燃料容器側方からシー
ト厚 1Jllのレ}ザ}先を照射した。粒子の運動は高速度 ピテ・オカメラに接続された VHSに記録し、粒子速度と火炎伝 ば速度および火炎位置は画像処理装置で解析した。また、 高速度ヒ.デオカメラの測定範囲は狭いため、別のピデオカメ ラで容器全体を撮影して、振動伝ばの段階を特定した。
3. 実 験 結 果
3.1 振動伝ば領域
図 2は、振動伝ぱ機構を説明した概念図である。ステッ (a)
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