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The Japan Society of Mechanical Engineers
日本機械学会
図 1 実験装置
(No.03-38) 第16回バイオエンジニアリング講演会講演論文集 ('04.1.2-23北九州 ・市)
607 固体壁上におけるレジオネラ属菌のバイオフィルム形成機構に関する研究
MechanismofBiofilmFormationofLegionelapne山 nophilaonSolidSurface 0正小西忠司(大分高専) 山城哲 (大分大・医) 小出道夫(琉球大・医) 西圏晃 (大分大・医)
TadashiKONISm,OitaNationalColegeofTechnology,TetBuYAMASmRO,OitaUniversity MichioKOIDE,RyukyuUniversity,AkiraNISmZONO,OitaUniversity
1.緒言
レジオネラ肺炎は 1976年に米国ペンシルパニア州で集団 発生し, Brenner らによって分離命名されたLegionela pnumophilaを含む 48種の属菌が分離・命名されている比較 的に新しい呼吸器系の病原細菌である.現在レジオネラによ って起こるレジオネラ症は新興感染症に取り入れられている. わが国では 1981年に斉藤(1)により肺炎の第一例目が報告さ れて以来,各地で集団発生事例が報告されており,最近では 平成 14年 7月に宮崎県内の温泉入浴施設で 295人感染(疑 いも含む), 7人死亡した事例は記憶に新しい.レジオネラ症 の感染は,冷却塔や給水給湯施設,加湿器および浴槽等の人 工的水環境系でレジオネラが増殖し,菌を含むエアロゾルを 人が吸入することで発症する.レジオネラは、自然界の土壌
と淡水に生息するグラム陰性の梓菌であり、一般に 20'-"-50"C で繁殖し、 36"C前後で最もよく繁殖する。また,レジオネラ はアメーパなどの原生動物の体内で増殖するため、これらの 生物が生息する生物膜(バイオフィルム)の内部にレジオネ ラが保護されている.また,最近の研究ではレジオネラ自ら バイオフィルムを形成しているとも報告されている (2).循環 式浴槽の配管内壁において,温水と外気の温度差による温度 勾配が存在する系で, レジオネラ属菌がどのようにバイオフ ィルムを形成するかは解明されていない.
本研究は,循環式裕槽等の人工水環境におけるレジオネラ 属菌のバイオフィルム形成機構を解明して, レジオネラの感 染防止対策を提言することを目的とする.本研究目的を達成 するために第一報としてとして一様温度の静止培養液におい てレジオネラ属菌が形成するバイオフィルムの形成能と形態 が温度によってどのように影響を受けるかを明らかにする.
2.実験装置および方法
本実験に用いたレジオネラは Legionelapnumophila
serogruoup1で標準株 ATCC33152および臨床分離株として 長崎 1株(長崎 80・045),沖縄 2株(沖縄 02・001,沖縄 02・03) である.培地は BCYEα(BufferedCharcoalYeastExtract α)の固形培地および液体培地を使用した.実験は,図 1に示 すようにレジオネラを接種した固形培地と液体培地を一定温 度に維持した培養室内で培養する.バイオフィルムの形成過 程はビデオカメラで観察する.
3. 実験結果および考察
3.1 バイオフィルム形成能に与える温度因子の影響
微生物が増殖するためには菌体成分の合成およびエネルギ ー獲得のための栄養素を外界から添加しなければならない. また増殖には水分,温度, pH,酸素などの増殖条件が適切で なければならない.本実験では増殖因子の温度のみに着目し て培養室内温度を 35"C-45"Cの範囲で変化させた場合のバ イオフィルムの形成能を調べた.図 2は培地にレジオネラを 接種してから 3日後の液体培地の表面に形成されたバイオフ ィルム写真を示す. 35"Cでは膜の厚みは薄く試験管壁から剥 離しにくいが分解しやすいバイオフィルムが形成された.一 方, 40"C.-.-42.5"Cでは膜の厚さは増し!試験管壁から容易に剥 離するが分解しにくいバイオフィルムが形成された. 45"Cで はバイオフィルムは形成しない.温度に関する影響は他の菌 株でも同様な傾向であった.
Vidωcamera
Liquidnuritent BCYEα
バイオフィルム形成に与える温度因子の影響(沖縄 02-01),(a)35"C, (b)40"C, (c)420C,(心 42.5"C, (e)45"C.
3.2 バイオフィルムの形態
図 3はバイオフィルムの顕微鏡による拡大写真を示す.バ
イオフィルムは気液界面の気体側上面は滑らかなのに対して, 液側の下面は約 1mmのセル状の形態を有している.この形 態が物理的か生物的な要因で生成しているかは不明である.
図 4に試験管壁から剥離分離した直後の写真およびヒメネ ス染色した写真を示す.バイオフィルムは 10間以上の長い 菌が網目状に折り重なって形成している様子が観察できる. この長い菌はバイオフィルム特有の形態であるかを確認する ために固形培地で増殖させたレジオネラと比較した.図 5に
示すように 35"Cでは長さ 5μm程度の短梓菌であるが 40"Cで は 10凶以上の長梓菌である.この長梓菌がレジオネラであ るかレジオネラの生成物であるかは現在不明であり,電子顕
図 2
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