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別記様式第 14号
審査区分 8・論
学位論文審査の結果の要旨
?Eデ1
審査委員会委員
第
小西忠司 主査氏名|妖除去久12
IlM査陪 l門日本r 鞍
L島
国 l査 氏 名 | 乍 明 史 r
Inf1uence'oftemperatureongrowthofLegu:melapneumophilabiofilmdeterminedbyprecisetemper~ture gradientincubator.
(精密な温度勾配インキュベータによって決定されたレジオネラ・ニューモフィラのバイオブイノレムの成長に 与える混度の影響)
論文掲載雑誌 JournalofBioscienceandBioenginering,101(の, 478・484,206 論文の要旨
細菌の培養極度は菌の増殖や形態形成に影響する.本研究では士 O.lOCの精度をもっ温度勾配インキ ュベータを製作し,Legionelapneumophila血清型 1型の 3株 (ATCC33152株および臨床分離株 の沖縄 02-001株,長崎 80-045株)を:培養温度 30.0"47.0'tの範囲で, O.50C刻みの調度勾配中 で培養し,菌の増殖,菌の大きさおよびバイオフィノレムの形態を光学顕微鏡および走査電子顕微鏡
冒を用いて検討した.
L.pnθumophilaをBCYE-α培地中で 48h培養し,その菌長を顕微鏡下で計測した.菌の長さの
平均が 50μm以上となったのは ATCC株は 39.0'"'-'4.0oC,沖縄株は 41.0'"'-'43.00Cで,最-長となっ たのはいずれも 42.50Cで培養した場合であり,それぞれ 15μfiJ 70μmで、あった.沖純株の方が より高い温度まで菌の二分裂能を保有していた .35.0oCr--J43.0oCの範囲では液体培地中の菌が寒天 培地中の菌より長くなった.培養温度と菌の増殖との関係をみると, ATCC株,沖縄株共に 43.10C まで、は全ての寒天培地で、コロニーが増殖したが, 4:10Cになるとコロニーを形成したものは ATCC 株では 59.1%,沖縄株では 68.2%で、あった. 4.10Cを超えると ATCC株は 100%の培地でコロニー 形成不能,沖縄株は 88.9%がコロニー不能となった.長1:時株は沖縄株と同様の結果で、あった次に 培養混度とバイオフィルム形成との関係を検討した.沖縄株を BCYE暢 αbroth中で 42.0oCで培養し ガラス壁面に付着したバイオフィノレムを観察した.培養 24h後には airliquidinterface(ALI)上方 のガラス壁面に厚いバイオフィルム,下方に頼粒状のバイオフィルムが形成された. 48時間後には ALIの上方 3mm'こ厚いバイオフィルム,下方に 0.2'0.5mmピッチのメッシユ状構造のバイオフィ ルムが形成された.培養 72h後には 3層の不均一なバイオフィルムが形成され,その下層は直径 0.2司 0.5mmの頼粒状バイオフィルム,中間層は 2-3mmの厚いバイオフィルム,上層は表面に 1・3mm の薄いバイオフィルムを形成した.バイオフィルムの厚さは上。中・下層で、異なっていたが構造は いづれも繊維状で差異は見られなかった.バイオフィノレムの上端は上層の薄膜に伸び培養液表面に 接し,下層は培養液中の頼粒層まで伸びていた.菌はバイオフィルム上層の空気と接する部分に多
く 中間層に少なかった.一方,菌を 350Cで 72h培養した場合,ガラス面のバイオフィノレム形成は 少なく JALI付近や下方の菌は無構造の粘液性物質に包まれ互いに連結していた. 4.50C以上では 全ての菌は死滅しバイオフィルムの形成も見られなかった.
本論文は精密な温度勾配インキュベータを申請者自身が製作し,それを用い培養温度が L pneumophijaの増殖,菌の大きさ,バイオフィノレムの形態、に及ぼす影響を詳細に報告したものであ る.これらの知見は温水を利用する際の瓶度管理,衛生管理の基準を定める際に重要な情報を提供す
るものであり,審査委員の合議により、本論文は学位論文に値するものと判定した。
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