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2.3実験方法
2日間静置した培養皿と TranswelのA549を角形ジャーに移
動して,火災ガス, 5%C02に暴露した.その後 ,0.5h,2h,4h 毎に取り出し,生細胞数,生存率をカウン卜した.培養皿と Transwel の比較実験では, ABS 樹脂をサンプルとした.火災 ガスの分析実験では,ナイロン 6,ウレタンをサンプルとし, 培養皿のみを使用して実験を行った .火災ガスの吐出量は 100ml/minである
培養皿底面に付着した A549はトリプシン lmlで剥離し,剥 離した細胞をピペットで1.5mlマイクロチューブに入れ懸濁す る. Transwelのポリエステルフィノレターをカ ッターで分離し, フィルターに付着した A549をトリプシン lmlで剥離する剥離
した細胞をピペットで1.5mlマイクロチューブに入れ 3000中m で遠心し,セルカウンター計測最低濃度以上に調整した.細胞 数は,懸濁液 10凶とトリパンブルー (TC10TrypanBlue) 10μl を混合して A549を着色し,全自動セノレカウンター (BIO孔久D 社, TClO全自動セノレカウンター)で計測する.
3. 実験結果 3.1ガス分析結果
Table1に 2回の平均ガス分析結果を示す.発生ガスは, C02, CO,HCHOであり, HCNはナイロン 6が 25ppm,一方,ウレ タンは発生しなかった.
は増加し,ウレタンよりもナイロンの発生量が多くなる.昨年 度の研究結果から燃焼温度は>5000Cであり ,ウレタンから HCNは確認されないこともありうる
培養皿と Transwel の比較実験では,培養皿の生存率は Transwel1よりも大きい.この要因として,培養皿では培地に溶 解したガスが細胞上面から吸収されるが, Transwelは溶解ガス が細胞全面から吸収されるためと考えられるまた,拡散チャン ノ〈ーを用いると,火災ガスから細胞へガス拡散が促進されるた め,培養皿や Transwel よりも細胞が短時間に死滅すると予測
される.
ナイロン 6では,火災ガスは 5%C02に比べて細胞が死滅し
ているが,ウレタンでは,火災ガスと 5%C02の差異はなかっ た.これは,ナイロン 6にのみシアン化水素が含まれていたこ
とが関係していると考えられる.
5. 結 論
ナイロン 6,ウレタンの燃焼により発生した火災ガスを分析し,
肺腺癌細胞 A549に暴露して毒性を比較した. (1)ポリスチレン製培養皿および Transwel1で培養した細胞を
ABS樹脂の火災ガスで 4h暴露した結果 ポリスチレン製培養 皿では生存率 95%,Transwel1では 88%になった.
(2)ガス分析は二酸化炭素検知管,アンモニア,一酸化炭素, シアン化水素,ホルムアルデヒドの 5種類のガスを 2回分析し, その平均を出した.ナイロン 6の火災ガス成分は,
2・
CO23000ppm,CO・300ppm, HCN:25ppm,HCHO:8ppmが含
ま れ て い た . ウ レ タ ン の 火 災 ガ ス 成 分 は , C O 2 :3 5 5 0 0 p p m , CO:900ppm,HCH0:46ppmが含まれていた.
(3)ナイロン 6 の場合, 5%C02では 4 時間後に初期細胞数 3x105cels/mlから 2.3x105cels/mlへ減少し,生存率は 95%にな った火災ガスでは 4時間後に1.1x10コcels/ml,生存率は 63%で ある .ウレタンの場合, 5%C02では 4時間後に 6.2x10コcels/凶, 生存率 95%,火災ガスでは 4時間後に 4x105cels/ml,生存率は 93%になった.これは,ナイロン 6にのみシアン化水素が含ま れていたことが関係していると考えられる
参考文献
1) 内藤裕史:中毒百科, 事例・病態 ・治療
2) 高橋太:第1編火災の基礎,第3章火災と生理・心理,火災
3.2火災ガス暴露実験結果 ポリスチレン製培養皿および Transwelにおいて,
ABS樹脂 の 火 災 ガ ス を 4 h 暴 露 し た 結 果 , ポ リ ス チ レ ン 製 培 養 皿 で は 生
存率95%,Transwelでは88%になった(図省略).Fig,3. Fig.4 にナイロン 6,Fig.5,Fig.6にウレタンの火災ガス暴露後の生細 胞数,生存率を示す.ナイロン 6は, 5%C02環境下では 4時間 後に 2.3x10)cels/ml,生存率は 95%である.火災ガスでは 4時 間後に 1.1x10コcels/mlになり,生存率は 63%になった.ウレタ ンは, 5%C02では 4時間後に 6.2X10コcels/ml,生存率は 95% である.火災ガスでは 4時間後に 4X10コcels/ml,生存率は 93% である.
4. 考 察
火災便覧では (2),HCN(mg/g)は5000Cではナイロン:0,ウ
レタン:2,7000Cではナイロン:31,ウレタ ン:3.3,9000Cではナ イロシ:95,ウレタン:20と記載されている高温程HCN発生量
Table1
C02 NH3 CO HCN HCHO
e3.50E+05
ミ 3.00E+05 c)
と 2.50E+05
Nylon6 23000
Urethane 35500 ー
; ; 2.00E+05 0
A乙 ー・ーFiregas
(J
1.50E+05
~ 1.00E+05 0
:e5.00E+04 > O.OOE+OO
5%C02 4
o 0.5 )'ostexposu陀
Componentsoffiregas (ppm)
300 900 25
8 46 ¥ n=2
ー- Firegas
・-
n=2
-← 5%仁02 timr[hour)
o 0.5 Postexposuretimc[lour)
Fig.5Numberofviablecels(Urethane)
ヘ n=2
・--Firegas
-・
I'ostexposuretime[houl"] Fig.4Celviability(Nylon6)
100 '1 90
n=2
- -Firegas - -5%C02
-5%Cu2 o 0.5 2 4
10 - -1 o
“ーァー『
o 0.5
便 覧 第 3版
日本火災学会編,
p.209-219,197
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- 70
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Postcxposllr~ timc[holr) Fig.6Celviability(Urethane)
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