Page 163 - Tsubomi
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    ターガーン村(チェンマイ県サンパートーン郡)
ターガーン村はチェンマイ県サンパートーン郡タムボン・バーングラーンに位置する、ターガーンの古代都市の遺跡と堀に囲まれた集落である。村の住民たちはミャ ンマーのシャン州チェントゥンから移住してきたタイ・ヨーン族であり、ゴーンモーンセーンと呼ばれる伝統音楽に代表される芸術文化をもっている。食や菓子、 言語や装い、建築物などもミャンマーのヨーン族の様式で、200 年以上も前にミャンマーのヨーン族の国からターガーンに持ち込んできたものである。ヨーン族は 地域への愛着の強い民族集団であり、厳格な風習や文化を大切にし、強固な共同体の文化を形成している。 彼らの金言には「銀は水の下に、金は土の下に」というものがある。これは、集落が天然資源から多くの収入を得ていることを意味しており、ターガーン村の村民 たちの生活様式をよく反映している言葉である。それというのもターガーン村のほとんどの人が未だに農村に住み、農業で生計を立てているからである。村民たち は素朴な農村生活を送り、親戚のように仲が良く、寺を心の拠り所とし、お互いによく助け合って暮らしている。農閑期には村の天然資材を使って、鳥籠、灯篭、 籃胎漆器、米櫃、ヤシの葉から作るインテリアなど、集落の中でよく見られる編細工を作っている。 昔は家庭で使用するための道具を竹やヤシの葉で作っていた。竹や椰子の葉は村の周辺にたくさんある手に入れやすい天然素材であるだけでなく、強くて壊れにくく、 害虫の被害を受けにくい。ターガーン村の村人たちはこの強みを独特の設計思想と編細工技術に組み合わせ、市場や観光客の志向に合わせた独自の新製品を生み出 している。その甲斐があり、いまやそれらの製品は集落に副収入をもたらす重要な商品の一つとなっている。
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