Page 39 - Tsubomi
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「フュウチャークラフトとは、伝統の文化の要素や職人の技を残した技術革 新です。」
レイとつばさの作品の着想は職人たちの手工芸品を作る時の動きの観察から生まれた。その動きは製品を作 るための時間の費やし方、念の入れ方まで表している。そこで地域の職人たちの仕事を通して、職人たちと 製品の使用者の感情が繋がれるように、職人たちの動きや感情を現代的デザインとして表現した。拡散と収 束という光特性の理論の下で、学生たちは工芸職人たちの動きや姿勢と、光や竹割りやヒゴといった光に影 響を与える様々な素材の手法を組み合わせ、次のようなデザインの製品を制作した。
1. 竹割り (Splitting of Bamboo) 籠の形をしたランタンはタイの竹よりも丈夫な日本の竹でできている。竹を薄い竹ひごにして編んでおり、 竹の網目模様と柔らかな色はより穏やかな感じを与え、さらに竹を透過した温かみのある光は、穏やかで落 ち着いた感じを引き出している。またこのランタンは消灯しても、部屋の装飾として使用できる。
2. 糸紡ぎと機織り (Spinning of Threads & Loom Weaving) 光と色を自在に調節可能な三種類のランタンセット。糸紡ぎと機織りといった糸を使って仕事をする職人の 動きをモチーフにしたものである。利用者の感性を惹きつけるためにタイの糸の中から明るい色を用いてい る。またこの作品の興味深い点は、様々な色の糸をガラス管に巻き付けて光を透過させている点である。手 工芸と電気技術が融合した利用者自身で光の色を変えることができるランタンのような作品である。 シャトル(杼)を水平に往復させながら布を織る動きから着想を得て、多色ランタンを制作した。一部の電 灯管は藍色から白色に色を変えることができる。また別の電灯管はオレンジ色に明るく光り、光が管の端に 近づくにつれて暗くなっていき、電灯管の両端は竹で閉じられている。さらにこの管には螺旋状の動きがあ り、それが明暗を生み出し、螺旋状の灯影を落とす。 この電灯管の作品は電磁誘導の法則を利用しており、発電機によって螺旋状に自由電子が移動する磁場を生 み出し、無接触で電灯に送ることができる。さらに、壁面に光を反射させることで、アットホームな雰囲気 を作ることができる。
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