Page 69 - Tsubomi
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私たちは絆と会話がタイの人々がともに車座に座ることによって生まれることを 見い出しました。床に車座に座る文化はまさにタイと日本に共通するものでした。」
いつも籠編みや会話のために車座に座り、コミュニティの中の強固な連携 をつくり出しているラーンナーの人びとの生活様式は、まさに強い構造を 持つように籠として編み込まれた竹と同じである。この着想から、海里と ミッシェルは昔ながらの地域性と、現代性を組み合わせた「クローズ・ニ ット」(Close-Knit)という椅子の製品をデザインした。 様々な形状の椅子のモデルをテストした後、最終的にラムプーン県のプラ バートフワイトム村に暮らすスゴー・カレン族が農作業時に使用している 笠を原型にして、人の体を支えるための椅子の形状に修正し、デザインを 仕上げた。この笠の頂部は尖がっており、前端は短く額まで覆っており、 後端はかぶっている人の背中まで深く覆っている。さらに伝統と現代性を 兼ね備えたデザインとしており、「クローズ・ニット」は、竹などの天然 素材とメッキをした鉄のような工業素材を混ぜ合わせて、糸で繊細に結わ えあげてある。また、麻と綿を混ぜた布で作ったクッションを用いてお り、使用者に自然な肌触りを与えます。 そしてさらに椅子のデザインをする際に、海里とミッシェルは地域の職人た ちが様々な天然素材を組み合わせられる機会をつくり、さらに持続可能な収 入を生み出す産業として椅子づくりを行うことで、職人たちの将来の仕事を 生み出すことを検討した。手工芸を通じて地域社会の絆を表現することだけ ではなく、伝統と現代性、手工芸と産業の「連結の構築」も目指している。
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