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世界を渇望し、デジタルツールで空想とリアルを描く

             日本人クリエーター上田バロンとは。

             このマガジンの監督でもあるロシア人ジュエリーデザイナー
             Pavel とボクとの出会いは今から7年ほど前になる。デザイ
             ナー由利佳一郎氏のショップが姫路にオープンしたときだっ
             たと思う。それから度々コミュニケーションし、今年も偶然博
             多に出張のときに連絡取り合って再会した。ちょうどこのマ
             ガジンの話もしてくれてたのでいいタイミングだった。この号
             から新たに Pavel とコラボする話に発展した。今月から別
             ページで新作を描くのでぜひ楽しみにしてほしい。

             Pavel(以降 P). バロンは大阪生まれ?
             Baron(以下 B). 現在は日本の大阪で活動しているけど、
             生まれた場所は京都なんだ。両親と親戚が京都の人でボク
             が生まれた場所は母の実家で、有名な金閣寺も近いエリア。
             おじいちゃんが巨大な機織り器で京都の伝統着物の西陣織
             を織っていたよ。幼い頃は住宅の横に作業場があって大き
             な機械が忙しく動いてたなあ。大阪は高校の時から住んで
             いて、それまでは転校生で東京も何年か住んでいたよ。
             P. 絵を描く以外位に何か趣味はあった?
             B. 絵はボクのコミュニケーションツールあり必要不可欠なも
             ので、小さい時から絵を描くことを手放さなかった。転校生
             だったボクは友達を作るきっかけが絵だったし、絵を描いて
             いれば時間を忘れるぐらい熱中していたよ。絵がどんな時も
             ボクを救ってくれた。子供の頃からゲームや模型制作も熱心
             だったけど、没頭する趣味が3つもあったから1日の時間が
             足りなかったので、大好きな趣味の1つだった模型作りは高
             校の頃にキッパリ卒業したんだ。
                                                            Baron's Afro Hair / ©BARON UEDA.


























               Ready / S.B.C.・©BARON UEDA.           ©BARON UEDA.                    ©BARON UEDA.


             上田バロン/イラストレーター・アートディレクター・AI BEAR デザイナー
             京都の西陣織職人の祖父の家系に生まれる。2000年より独立し、デジタルツールを駆使した硬質なボールドなライ
             ンを使い、ブランド化されたバロン目を持ったキャラクターイラストレーションを描く。フラットな表現でありながらアグ                             http//frlamemonger.com
             レッシブな奥行きを感じる構図、そしてポップ&トゥーンスタイルが支持されている。広告や出版、ゲーム、メディア                               SOUL_REPUBLIC
                                                                                                 BARONUEDA1974
             や巨大壁画など国内外で幅広く展開。幻冬舎「会話型心理ゲーム人狼」シリーズのキャラクターデザインがある。
                                                                                                 BARON_UEDA
             京都の茶室にシルクスクリーンプリントで仕上げた大作「Hachi」をはじめ、風神雷神図や黄金の舞妓図など日本の
             伝統技術と箔とデジタル表現を使った作品を生み出す。LIMITS 世界大会2017で世界3位。玄光社より上田バロ
             ン初作品集「EYES」発売。
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                                                     動感を加えることもある。もともと子供の頃に鳥山明や宮崎
                                                     駿、士郎正宗、天野喜孝に憧れて絵やマンガを描いたりし
                                                     ていた影響から来ていると思う。今のスタイルは完全にデジ
                                                     タルツールを使って描いた頃からのスタイルなんだ。
                                                     P. これからやりたい事と行きたい場所は?
                                                     B. 日本以外のまだ観ぬ世界のどこか、自分のデザインした
                                                     キャラクター「AI BEAR」と旅をして世界の誰かに届けたい。
                                                     自分の作品の生まれた原点がアメリカの LA にあるし、他に
                                                     タイにも何人か友達もいるから滞在しながらでも活動したい。
                                                     台湾も行きたいな。それから未知のロシアもいつか行ってみ
                                                     たいと思う。
                                                     P. バロンの将来希望する世界の形とは?
                                                     B. 世界で猛威を振るうコロナウイルスから1日でも早く人々
                                                     が解放され、平和であり、言葉やコミュニケーションの障壁
                                                     を感じず、多様な文化や習慣の違いを学び合い交流できる
                                                     世界を希望します。今コミュニケーションしたい気持ちと、
                                                     自分の語学力は反比例していて限界を感じているから、テク
                                                    ノロジーの力を借りてでも早く世界に飛び出したい。
                                                     P. 最後に「365 ART+」マガジンに対する期待する事は?
                                                     B. 日本からロシアはじめ海外の感度の良い人達に自身のク
                                                    リエイティブを知ってもらえること、そして言葉で伝えることが
                                                     できること、これらをこのマガジンを通して実現できることは
                                                     とても素晴らしい機会だなと思った。自分がまだ訪れたこと
                                                     のない国で自分の作品を届け、喜び合うことができたら幸
                                                     せだなと思う。
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