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       2. 実験装置及び実験方法
本実験システムは,銅製水冷ペルチェユニット,恒温槽,データロガー,光源装置,ハイパースペクトルカメ ラ, IRカメラ,熱電対から構成されている.本実験における冷却は,低温恒温槽により銅製水冷ベルチェユニッ
トに流すブラインの設定温度とペルチェユニットへの印加電流の組み合わせを調整して行った試行錯誤の結果, 両者を適切に組み合わせることにより 室温から冷却速度一定で温度を降下させその後低温環境下の目標温度を ほぼ一定に維持することができた本研究での低温環境下の目標維持温度はおおよそ 50C,_50C,・150C,_250Cと
した.本研究ではダメージ評価として NDVIを用いるが NDVIは植物の生命活動の一つである光合成を利用し たもので,すなわちクロロフィルを含む緑葉は可視光,特に赤の光をより強く吸収して光合成を行い,一方光合 成に使われない近赤外の光はなる べ く反射させて葉の温度が上がらないようにしている特性を利用したものであ る.その定義式。)を式(1)に示す.
IR-R NDVI=IR+R
ここで, IRは近赤外線の反射率, Rは赤の波長の反射率を示す.本研究においては, この計測を 350'"'"'1050nm までの感度を持ち, 5nm間隔で分光可能なハイパースペクトルカメラを用いて行 った 光 源 に は , 出 力 波 長 40 '"'"'170nmのハロゲン光源を用いて,輝度が一様となるように光ファイパーを通して照射した図 1にハイパー スベクトルカメラにより撮影した造花と植物の波長スペクトルを示す.これにより,前述したように,光合成を
している植物は近赤外線を顕著に反射しているのに対し,造花は全く反射していないことがわかる.
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同 国
吉 0.8 g06
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号 0.4 司
ヨN 0.2
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帽圃圃・Artificialeaf
ー 圃 園 田 BrasicarapaL.var.perviridisL.H.Ba1iey CameliajaponicaL.
90 10 Fig.1Comparisonofspectraldistributionofartificialandlivingleaves
400 50
60 70 80 Wavelength(nm)
本研究は, NDVI を用いて低温環境下におけるダメージを評価できるかを検討するため,大きくつぎ、の二つの 実験;1室内に放置した場合の植物のダメージと NDVIの関係,21の結果を踏まえて,低温環境における NDVI の推移からのダメージ評価の可能性,を試みた. 植物(試料)には,部位として葉を用い,植物として寒さに強 いユキノシタ,樹木から椿の葉,そして一般に傷みが早いと言われている小松菜を使用した試料は新鮮さが求 められるので,ユキノシタと椿の葉は自生の物を,小松菜は水耕栽培で栽培したものを使用した.なお,本研究 では, IRの波長領域を 710'"'"'70 (nm),R の波長領域を 645'"'"'685 (nm) とした
3. 実験結果及び考察
3・1 室内に放置した植物のダメージ
まず, NDVI を 用 い て ダ メ ー ジ 評 価 が で き る か ど う か を 調 べ る た め , 室 内 ( 室 温 240C) に 植 物 を 放 置 し 3 植 物 にダメージを与えてみた.ハイパースベクトルカメラを使用して,その様子を実験開始から l日毎に撮影し,植 生指数の推移を調べた.その結果を図 2に示す.参考のために,小松菜の実験開始と 5日後の明視野画像と NDVI 画像を示す.可視光画像をみると,小松菜は実験開始時には緑色をしていたのに対し, 5 日経過すると茶色に変
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