Page 36 - 365Art+ Vol2
P. 36
柴田織物ーテキスタイル
世界が刮目するハイブリッド機屋 柴田織物
さびた鉄板
艶めくパイソン
カーキ色のカモフラ…
好きなものを詰め込んだツールボックスを、少年が目を輝
かせながら見せてくれる
独特の世界観で人々を惹きつける柴田織物 2代目柴
田祐史さんの考案した「他にはない」デザイン。反物を
広げながら話す姿はカードゲームやメンコに夢中にな
る少年のようです。小説「羅生門」をテーマにした稲妻
の走る羽織。お米農家がまとう稲穂柄の着尺と帯。雨
音が楽しくなる蛙柄の着尺。祐史さんの手にかかれ
ば、いろんな物語が「着物」へと変身します。
図案を描くグラフィックデザインと、織機の特徴や組織づかいを考えて織物を設計す
るテキスタイルデザイン。ふたつの要素が祐史さんの頭の中で混ざり合って、ペンタ
ブレットを走らせます。「もともと絵は学んでいないから、筆で描くことはできないけ
れどイラストレーターは綺麗な線を引いてくれるし、フォトショップは色を塗ってくれ
る。いまでも絵が描けるとは思っていないんですよ」。見事に図案化された美しい曲
線からは、想像できない答えが返ってきました。それでは、なぜ自ら図案を手がける
ようになったのでしょうか。
36 365 ART +