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液体燃料上に形成される蒸気濃度分布に及ぼす浮力の影響
液体燃料上に形成される蒸気濃度分布に及ぼす浮力の影響
小西忠司 安藤誠人 生野卓司 那賀修二 加藤勝敏
TheEfectBuoyancyonVaporConcentrationProfilesFormedoverLiquidFuel
TadashiKONISHI MakotoANDO TakujiSYONO SyujiNAKA KatsutoshiKATO
KeyWords:V;αi,porConcentration丹 ofiles,Buoyancy,Hologrαi,phiclnterferometry,LiquidFuel
1.緒言
宇宙開発が本格化しつつある現在では,液体燃料の漏洩・ 引火による事故の防止の観点から,微小重力場での液体燃 焼が宇宙火災での重要な研究課題となっている.液体燃料 は,表面上に形成される燃料蒸気に引火し燃焼するため, 液体燃料上の蒸気濃度分布に重力がどのように影響を及ぼ しているのか,その機構の解明が望まれている.重力が液 体燃料の燃焼に与える影響は以下に示す 2つであると考え
られる.
(1)蒸気濃度分布の形成に及ぼす浮力の影響 (2)可燃蒸気中を伝ばする火炎に与える浮力の影響
そこで,本研究では浮力が蒸気濃度分布にどのように影響 を及ぼすかを解明することを目的とする. NASAでは, こ の目的のもとで無重力における蒸気濃度分布の測定を弾道 ロケットにて行う予定であるので,我々は燃料温度と空気 温度を変えて,蒸気濃度分布を測定及び周囲の空気の動き を可視化し観察することで,浮力の影響の検討を行った.
2. ホログラフィー干渉法及び干渉縞解析
ホ ロ グ ラ フ ィ ー 干 渉 法 (HI法 ) と は 代 表 的 な 光 学 測 定 法の一つである.この HIl法は, リアルタイムで現象を追従 できるだけでなく,非接触測定なので測定場を乱すことが ないため,濃度測定に適している.
まず,基準となる物体光をホログラムに記録し,参照光 で再生する.そして,実際の物体光で測定対象となる試料 を照射すると,物体光は屈折を起こし基準物体光と干渉す る.この時に形成される干渉縞をビデオやカメラで撮影し,
機械工学科
〈平成1年 9月24日受理)
解析することで濃度分布等を測定することが出来る. HI法は,屈折率の変化による干渉縞の変化に基づいて いる.屈折率は試料温度・試料濃度・試料変形により変化 する.アルコール燃料からの燃料蒸気の蒸発を取り扱う場 合,試料変形はなく,濃度変化と周囲空気温度の変化を考
慮すればよい.
実 験 に よ っ て 得 ら れ た 干 渉 縞 次 数 N と 濃 度 Cr の 関 係 は ,
Gladstone-Dale式より導かれる次式によって表される.
_L凶且主!L(l_1J -.1._
N ー ど 出 叫 L 十 一 ρ 'r Cr ( κ f - 」 と L ι ) (1)
r-'
ここで, L:パスレングス
ム,I¥, r それぞれ空気と燃料の Gladstone-Dale定 数 え:光の波長
To,T :ホログラム撮影時と干渉縞撮影時の温度 pr'燃料蒸気のみの密度
である.この式を Crについて解けば,干渉縞次数は濃度に 変換される.
3 実験装置及び実験方法
実 験 に は Fig.lに 示 す 様 に ホ ロ グ ラ フ ィ ー 干 渉 法 と レ ー ザーシート法を同時に行える光学系を使用した.ホログラ フィ一光学系では, 50mWHe-Neレーザー(波長 632.8nm) から発射された光は,プリズムによって物体光と参照光に 分けられる.参照光は,対物レンズ・ピンホールを通り拡 大され,凸レンズを通過して乾板に照射される.物体光は,
対物レンズ・ピンホールを通り拡大され,凸レンズ・試験 部を通過して乾板に照射される.また,レーザーシート光 学系では, 70mWAr+レーザー(波長 488nm)か ら 発 射 さ れ た光はシリンドリカルレンズによってシート状に拡散され, 試験部を照射する.試験部に設置した燃料容器は,幅20m,
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