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植民地時代にヨーロッパの宣教師がもたらしたキリスト教は、ナイジェ リア全土で大きな宗教的影響力をもつようになりました。ローマ・カトリ ック、英国国教会、メソジスト、ペンテコステ派、およびさまざまな独立 教会を含むキリスト教の教派は大きな存在感をもっています。キリスト教 の影響は精神的なものにとどまらず、ミッション系の学校や病院を通じて、 教育と医療の発展に重要な役割を果たしています。キリスト教の価値観は、 ナイジェリアの多くのコミュニティにおける社会規範、家族構成、および 道徳的枠組みにも影響を与えています。ナイジェリアのキリスト教コミュ ニティには、先住民の文化と伝統の要素を取り入れた多様な実践と表現方 法があります。たとえば、一部の地域では、キリスト教の信仰と伝統的な アフリカの宗教的慣習が混ざり、融合された形になっています。
ナイジェリア北部で特に普及しているイスラム教は、アラブや北アフリ カの商人との貿易や文化交流を通じて伝わりました。ナイジェリアのイス ラム教徒の大半はスンニ派ですが、ほかにもさまざまなイスラム教の教派 や組織に属しています。コーラン学校(マドラサ)を通じて行われるイス ラム教教育は、イスラム教徒の子どもたちに宗教的知識と道徳的価値観を 伝える上で重要な役割を果たしています。ナイジェリアでは、イスラム教 教育、社会福祉、政治参加を提唱するイスラム運動や組織の台頭が見られ ます。このような動きにより、イスラム教の価値観が広められ、イスラム 教徒の利益が守られています。
伝統的なアフリカの宗教は、イスラム教とキリスト教の両方に先行して いて、それぞれの部族によって異なった土着の信仰と慣習があります。こ れらの宗教には、祖先の霊や自然の神々への崇拝、伝統的な儀式やその実 践が含まれます。キリスト教とイスラム教からの影響にもかかわらず、伝 統的なアフリカの宗教は多くのコミュニティで存続し続けています。
主要宗教に加えて、ナイジェリアには少数ながらも他の宗教を信仰する 人々もいます。たとえば、イファ族のヨルバ教、オディナニ族のイボ教、 アバシ・イボム族のエフィク教などの伝統的なものです。さらに、仏教、 ヒンドゥー教、シーク教、ユダヤ教など、他の伝統的宗教の小さなコミュ ニティも存在します。数は少ないものの、これらの宗教コミュニティはナ イジェリアの宗教的多様性と多元的共存に貢献しています。また、主に外 国人居住者、または改宗や結婚によってこれらの宗教を受け入れたナイジ ェリア人により、コミュニティは構成されています。宗教間の対話や、宗 教団体や政府の取り組みは、相互理解や、宗教的寛容の促進、宗教的対立 の緩和を育む重要な役割を果たしてきました。
宗教の共存と寛容は、ナイジェリア社会にとって不可欠な側面であり、 多様な人々の間で平和と調和を維持しようと努めています。
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