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1950 1962
沿革編 沿革編
な支えとなったのが、このバラック社屋にちなんだ “ 立売堀のバ れる際には、食費など寮生活にかかる経費が天引きされた。
ラック精神 ” であった。 住宅融資制度や非常融資制度も整備されていた。非常融資制度は、
①葬儀、②疾病、③災害、④婚礼、⑤出産、⑥入学、⑦転居、⑧盗難、
福利厚生の充実 ⑨著しく生活が困窮したとき、⑩そのほか各号に準ずる程度の事由
があると会社が認めたときに融資するもので、対象者は以下のよう
1950年代後半になると、大卒社員の採用が始まった。 1962 （昭 に規定されている。
和37） 年の就業規則によると、初任給は大学卒業またはこれに準ず
宴会や旅行も多かった
る学歴を有する者1万7,000円以上、短期大学卒業1万5,000円 ①勤続1年以上の者 CHRONICLE
以上、高等学校卒業1万3,000円以上とされている。給料が支給さ ②勤務成績良好にして将来も引き続き勤務の見込みある者
③償還能力確実なる者
CHRONICLE
Ⅰ
E.K 就業規則（1962 年） 片山栄 そ と の 一 時代
10 このほか、若い社員が給料を使い果たしてしまわないように、一定
COLUMN- 寮生活と「二十日会」
額を会社に預けて積み立てる、いわば社内預金でもある「預かり金制
度」もあった。この制度では、社員の将来設計のために金融機関の数
当社の家族的な社風は、食事や寮生活によ あっても入社後数年間は入寮する慣例となっ
く表れている。 ていた。この寮には窓が一つもなく、湿気の 倍にあたる利息が付き、引き出すには社長印が必要であった。
食糧事情が良くない時代であったが、事務 多い室内で雑魚寝をするのが精一杯であった 1962年8月に大阪鉄商組合設立と同時に加入した後には、大阪 大阪 Ⅱ 本全国 へ 日 か ら
所の裏にある食堂では社員だけでなく取引先 という。 鉄商健康保険組合、大阪鉄商企業年金基金などの制度も充実した。
にも食事が振る舞われた。このようなことが これとは別に、会計部門が入る建物の2階 また、「運動会」と呼ばれた営業所ごとの社員旅行や、西区・土佐
可能であったのは、防府営業所が苦心して食 にも畳敷きの部屋が4部屋あり、課長・係長 稲荷神社での花見会、野球部などの活動と、仕事以外の楽しみも充
1955 年の上期賞与金
糧を集め、定期的に大阪に送っていたためで クラスの社員5 ～ 6名が寮として使用してい 実していた。
ある。ご飯に味噌汁、そして鯖の煮物などの た。この畳張りの部屋では、栄一社長の時代 Ⅲ
おかずが1品。月に1 ～ 2回は贅沢なとんか より月1回のスキヤキ晩餐会が開かれ、社員 E.K 片山鉄建 の 精神
つも出された。食事時になると当社を訪問す 全員が楽しみにしていたという。スキヤキ晩 COLUMN- 11 カッパ会、片山こだま会、片山永遠の会
と わ
るブローカーもいて、業界の情報収集にも役 餐会は栄一社長の逝去後もその月命日にち
立ったようだ。食事は多めに用意し、余った なんで毎月20日に開かれ、「二十日会」とし
場合は寮生の晩飯となった。 て定着した。肉は食べ放題、酒類は飲み放題。 1964（昭和39）年頃には大阪に勤務する社 ・販売員として知っておきたい商品知識 Ⅳ
事務所の2階は、主に新入社員12 ～ 13名 1,000円程度のこづかいが手渡しで配られて 員の集まりとしてカッパ会が結成され、資金 ・鉄鋼基礎用語 近年 の 片山鉄建
ほどが起居する社員寮であった。寮生には いたが、その後、臨時手当として給与に組み込 を積み立てて3カ月に1度、石山寺、友ケ島、 ・科学的な仕事の進め方
地方出身者が多かったが、近隣に住む社員で まれるようになった。「二十日会」は大阪のみ 伊勢志摩、神鍋スキー場などの大阪近郊へ出 ・応対者の言葉づかい
ならず、東京・札幌など地方の出張所でも開 かけては親睦を深めた。 ・好ましい言葉、好ましくない言葉
かれた。 カッパ会の名称は「陸に上がった河童」、す
一方、大阪市西区新町2丁目には2階建て なわち何もできない人間の集まりという意味 大阪では、女子社員も1964年11月に独自
の女子寮も設けられ、女子社員のほとんどが 合いが込められており、やがて“平凡な人が集 で片山こだま会を結成し、その後、在職満1年 第
寮生活をしていた。女子寮は大阪の事務所か まり、非凡な経営エネルギーを発揮する場”と 以上の OG 及び現役女子を対象とした片山 1 章
と
わ
ら徒歩4 ～ 5分で、1階には家族用が2部屋、 いう考えの下に、さまざまな勉強会を開催す 永遠の会も結成された。片山永遠の会は年1
2階には独身社員用が4部屋あった。その後、 るようになった。その内容について、一例を 回の親睦会を通して、本社の現役社員と退職 「「「
女子社員の増加にあわせて部屋を増やし、本 挙げる。 した女子社員が交流を深めるための場であっ 三 社長
社東側の倉庫2階も女子寮となった。 ・簿記 た。
「二十日会」の様子 ・経営分析 「
就任
074 ◆ ◆ ◆ THE 100 YEAR HISTORY OF E.KATAYAMA & CO., LTD. ˗ ˗ ˗ 075
