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1961 1968
沿革編 沿革編
いることで、約500キロ北方のサンフランシスコ市が米国太平洋岸 E.K
では歴史的伝統の街であるのに対し、ロスは新興の若々しい街であ
COLUMN- 17 事務所移転構想と「バラック精神」
り、今後共にどこまで伸びるか分からぬと思われる程雄大な街であ
るといえよう。」 (『いずみ』 22号、 1967年8月)
1960年代になると、立売堀周辺の風景も 商店創立五十周年記念日の昭和44年8月1
戦後とはうって変わり、当社の両隣にも新た 日には大阪本社新社屋を完成し、その一堂に
ロサンゼルス進出の夢は、 1968年、「E.KATAYAMA & CO., なビルが建った。しかし、当社の建物は戦後 全社員が集い喜びを共に出来る事が私の夢だ
(AMERICA)INC.」 (後に「EK.FASTENERS,INC.」に社名変更) 間もない頃に建てたバラックのままだった。 が、しかし、諸君、私は此処で敢えて次ぎの様
の設立により叶うこととなる。 ある社員は当時についてこう語る。 に叫びたい。 CHRONICLE
成型加工場の新設も、一部で実現した。札幌営業所では、レヂノ製 「来社されるお客様に社員が道順を教える 『大阪本社のバラックを忘れないで呉れ!』
CHRONICLE
品拡販のため、 1969年に小樽の郵船海陸から借りた倉庫にスリッ ときも、『この道の先に行ったところにある 片山栄 Ⅰ
ター機を導入して、小コイルの販売を開始している。 “あばら屋”です』と伝えたほうが分かりが良 此のバラックこそ、形にとらわれず「倉庫と 時代 の 一 と そ
1960年代後半の5年間には、名古屋、松戸に営業所が開設され、 かったほどです」 資金」の問屋業に徹した片山商店全同胞の永
年の汗がしみ込んだ建物なのだ。建物そのも
札幌鉄鋼センター(P112で詳述) が設立されたほか、需要家の開拓が
このため人材採用には苦労をした。優秀な のに私はセンチメンタルな懐古趣味を唱える
本格化していくことになる。また、 1967年には給与体系に等級制を
学生が集まっても、社屋を見たとたんに驚い のではない。私が叫びたいのは建業の精神で
導入した。能力主義・成果主義の導入という意味では国内企業のな Ⅱ
て帰ってしまうことが少なくなかったからで ある。人間とかく易きに流れ勝ちなものだ。 大阪 へ 本全国 か 日 ら
かでも非常に早い時期の取り組みであり、 1968年度方針にも「吾々
ある。 まして、その後に入社する新しい同胞はバ
EK.FASTENERS,INC. での北神泰治氏 は吾々の成長と幸福を確立する為に能力主義による賃金体系の基礎 そのバラック本社も、創立50周年を機に新 ラックを知らないで入って来る訳だ。その時
をかためよう」という文言が盛り込まれている。だが実際には、給与 築・移転してはどうかという声が上がってい 建業の精神が忘れられてしまったらどうなる
の根拠を明確にするという意味合いのほうが強かったようである。 たようである。その思いについて、栄三社長 か。バラックは無くなってもバラック精神(建
戦後の混乱期には少人数で仕事を回していたこともあり、社内の職 は1966(昭和41)年6月発行の『いずみ』8号 業の精神)は厳然たる片山商店の筋金として Ⅲ
片山鉄建 精神 の
制も曖昧で、「自称課長」のような立場で仕事をしていた社員もいた。 でこう語った。 未来永劫その灯を燃やし続けねばならない。
しかし、会社が大きくなってくるとそうはいかない。そこで、創業 どうか諸君、今の内に立売堀の片山商店大
50周年を前に職制の整備を進め、さらなる発展に向けての準備を進 「片山商店は大阪本社を母体に東京支店・ 阪本社のバラックを、穴のあく程ようく見つ
倉庫内観 めたというのが実態であったようだ。 札幌・仙台・防府・福岡・松戸に次々に営業 めておいて下さい。」
拠点が生まれ、嵐に襲われる度にこれを撥ね Ⅳ
返して成長を続けて来た。吾が同胞も戦後数 その後、創立50周年記念日に本社新社屋 近年 片山鉄建 の
名だったのが今や150名迄になった。唯変わ を完成させるという栄三社長の計画は変更さ
らないのは立売堀なる吾が大阪本社のバラッ れ、1973年11月、西区立売堀3丁目の大阪
クである。今此の原稿を書いている社長デス トヨタビルに本社を移転することになった。
クの上にはバケツが置いてある。折りしも降 事務所が移転してからも、当社の建業の精神
り出した春雨の雨漏りを受けているのであ を表す“バラック精神”という言葉は、次の世
る。 代へと伝えられていった。 第
先日の連絡会議で私が発表した様に、片山 1 章
る み ぐ 工 事
「
し て 目指 受注 を
EK.FASTENERS,INC. 会社案内表紙 EK.FASTENERS,INC. の社屋
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