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1961 1968
沿革編 沿革編
1957年から整備が始まった堺泉北臨海工業地帯では、関西電力 積の資材置場があり、そちらにも橋型5t 吊クレーンが設けられた。
株式会社の発電所や三井東圧化学株式会社などのプラント建設に携 その収容能力は内外併せて3,000t 以上で、主に川崎製鉄の H 形鋼
わった。岡山周辺では三菱石油株式会社を皮切りにプラント関連の が在庫保管されることとなった。
受注を拡大、現場は水島や四日市など近畿から瀬戸内海周辺を中心 鉄鋼センターは1965年12月に完成し、同日に当社と川崎製鉄の
に東京、九州にも拡がっていった。 共同出資による運営会社として札幌鉄鋼センター株式会社が設立さ
さまざまなエネルギー問題を解決するために原子力発電所が次々 れた。
に建設されるようになると、配管の断熱のために0.03mm 程度の 企業が多角化を図る場合、新事業の業績に企業全体が振り回され
ステンレス箔をハニカム状に巻いて用いるようになった。この新し ることが起こりがちである。札幌鉄鋼センターを当社から独立した CHRONICLE
い需要を受けて、当社は福井県の大飯・美浜・高浜や愛媛県の伊方 企業としたのは、当社にとって未経験の倉庫業を営むにあたり、「責
原子力発電所で断熱工事などに携わった。 任が不明確にならないようにしたい」という栄三社長の意向を反映
CHRONICLE
させた結果であった。 Ⅰ
片山栄 一 そ と 時代 の
札幌鉄鋼センター株式会社の設立 こうして、当社は以前にも増して川崎製鉄の信頼を獲得し、北海
道における土木資材の拡販を強力に進めていくことができた。
本来、当社第一の主力商品は、亜鉛鉄板である。だが、国などの行
政による開発が計画的に推し進められた北海道では、札幌出張所の 松戸営業所の開設
果敢な営業努力もあり、土木関連分野の受注が大きな割合を占める Ⅱ
大阪 か 本全国 日 ら へ
ようになった。当社は土木関連需要の将来的な増加を見込んで、札 1960年代半ばの日本経済は、東京オリンピックの反動でしばら
幌郊外の琴似、札幌鉄工団地に土地を購入。その一方で、川崎製鉄も く沈滞し、亜鉛鉄板やカラー鉄板も在庫過剰による値崩れが起きた。
北海道にサービスセンター開設に向けた製品倉庫の設置を計画して これに対して東京亜鉛鍍金は自主減産を行うとともに、生産設備の
いた。 1964 (昭和39) 年夏に川崎製鉄の計画を知った当社は、琴似に 近代化を進めるべく千葉工場の連続亜鉛メッキ設備を稼働させた。
所有する土地の利用を川崎製鉄に提案し、鉄鋼センターの建設に取 従来の東京工場は、いわゆるドブ漬けメッキによる生産を行ってい Ⅲ
片山鉄建 の 精神
り掛かった。 たためコイル化に対応できなかったが、連続亜鉛メッキ設備の導入 東京亜鉛鍍金からの感謝状
鉄鋼センターの敷地面積は800坪で、幅15m、長さ65m、高さ によってそれらの問題も解消されることとなった。
20m の建屋が1棟建てられた。建物は川崎製鉄のライトゲージと 1965 (昭和40) 年2月の米軍によるベトナム戦争介入に伴い、亜鉛
H 形鋼による骨組みに、リバーカラーで屋根と壁を設えたもので、 鉄板の需要は回復し始めた。だが、これを機に大手高炉メーカーが
屋根には28番片面青色の長尺、壁にはねずみ色の波板が使用され 亜鉛鉄板、カラー鉄板の生産に本腰を入れ始め、業界では激しい価 Ⅳ
札幌鉄鋼センター株式会社開設当初 た。内部には5t 吊天井クレーン1基。また、屋外には建屋と同じ面 格競争が始まった。 近年 の 片山鉄建
1965年10月、川崎製鉄系列下にあった東京亜鉛鍍金、三剛鉄板
株式会社、新日本鍍金株式会社の3社が合併し、川鉄鋼板株式会社が
設立された。その会長には岡田貢助氏 (川崎製鉄副社長) 、社長には斎 東京亜鉛鍍金の会にて
藤実氏 (東京亜鉛鍍金社長) が就任し、 2カ月後の同年12月に、当社松
戸倉庫に隣接した約2万5,700㎡の敷地に川鉄鋼板松戸工場が建設 第
された。当社が松戸倉庫の用地買収を行った時点では隣接地に工場 1
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が設置されるという情報はなく、全く予想外の出来事であった。当
ぐ 事 工 る み
社は翌1966年3月、 1962年に竣工した倉庫に併設する形で松戸営
業所を開設し、地元周辺地域の拡販にも乗り出すことにした。
「
川鉄鋼板松戸工場は、生産性の改善を図るべく最新式の連続亜鉛 目指 を し 受注 て
川崎製鉄・藤本一郎社長をお迎えして(1967 年 6 月 9 日) メッキ設備を導入して新設されたもので、同年8月の本格稼働以降 「赤鳩印」のマーク
112 ◆ ◆ ◆ THE 100 YEAR HISTORY OF E.KATAYAMA & CO., LTD. ˗ ˗ ˗ 113