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1969 1978
沿革編 沿革編
大手総合商社が業界に参入するなかで、組織の大きさではなく機 日本万国博覧会のパビリオン建設
動力を発揮して未来を切り拓いていく。そのようなイメージが「片
山艦隊」という言葉に込められていたのであろう。 片山鉄建への社名変更が行われた頃、大阪府・千里丘陵の約330
組織改革を契機に、それぞれの営業所の経理担当者は、勤務地が 万㎡に及ぶ敷地では日本万国博覧会に向けた建設工事が急ピッチで
東京であれ福岡であれ、本社経理部長の直属の部下として位置づけ 進められていた。万国博の参加国は70カ国以上、国内出展メーカー
られた。また、上長の意志を貫くため、上長は一人の思想の下に、以 は20社以上にのぼる。会場建設のための工事は総工費五百数十億
下について責任を持つこととした。 円で、現場には数千人の技術者、労働者が働いていた。
当社もまた、「万国博の成功」を目指して金属建材の材料から施工 CHRONICLE
(1) 命令・報告のラインの明確化 までを提供し、清水建設の発注を受けてソ連館、イタリア館、象牙海
(2) 上長の部下の掌握 岸 (コートジボワール) 館、 EC(欧州共同体) 館、万国博本部館、三井グ
CHRONICLE
(3) 各部署所属者の責任・権限の明確化 ループ館、変電所など、複数の建設に関わった。 Ⅰ
片山栄 そ の と 一 時代
建材には川崎製鉄の H フレーム、安田金属の外装用金属パネル、
ここでのラインとは命令・報告のことで、情報連絡とは「厳に混 矢口式カベラス及びシートラス、角山2型のほか、カクパネルやカ
同するな」と注意が加えられている。情報連絡は「組織を重視し上下 クパネルスーパー(角型のスパンドレル) 、メタルラスなどが使用さ
前後左右それこそ縦横無尽に行われる」ものである。 れた。これらの建材は、人件費や工期を削減する意味でも欠かせな
上下の身分については以下のように規定されている。 いものとなっていた。 Ⅱ
大阪 か 日 へ ら 本全国
E.K
• 組織と身分とは完全に切り離して考える。
COLUMN- 22 象牙海岸館の建設
従って身分 (等級・号棒) の低いものが組織上の上位になることも
あり得るし、また組織上上位になっても、必ずしも身分が上がる
1960(昭和35)年は多くのアフリカ諸国が 円筒形の塔と、それをとりまく伝統的な民家
とは限らない。 Ⅲ
独立したため「アフリカの年」とも呼ばれてい ふうの展示館で構成されています。三つの円 片山鉄建 の 精神
るが、アフリカ西海岸の国コートジボワール 筒形は近代館、民家ふうのは歴史館です」
眼前の状況に臨機応変に対応するには、身分にこだわるべきでは が独立を果たしたのも、やはり同年8月のこ 万国博のパビリオンには、新しい建築・土
ない。いわば、潜水艦や駆逐艦の身軽さが求められていると言えよ とであった。面積約32万2,000㎢、当時の人 木技術の結晶ともいうべき独創的なデザイン
う。 口はわずか400万人足らず。輸出生産物の大 が採用されたが、必ずしも確立した工法があ
半はコーヒー、ココア、バナナで、独立後には るとは限らず、板金業者が知恵を絞りながら Ⅳ
• 組織とは臨戦体形のことである。したがって戦争の仕方によって コーヒー生産量が年約28万 t で世界第3位、 作業の進め方を練っていくしかなかった。 近年 の 片山鉄建
体形が変わって然るべし。即ち組織はダイナミックなものである。 ココアは年約20万 t で同4位にまで成長した。 この工事は清水建設から需要家課が受注、
• 本社機構は社長・取締役会及び経理部・労務部などのスタッフ コートジボワールは元フランスの植民地 当社工事部が7 ~ 8名の施工部隊を編成し、
により構成される。 で、国名もフランス語で「象牙海岸」を意味す 工期スケジュールに合わせて逐次増員しつつ
る。そこで、万国博では「象牙海岸館」の名称 完成させた。建物の外装にはカクパネルスー
将来、企画室・アイディアセンターなどのスタッフが加えられる
でパビリオンを建設することにした。当時の パー、屋根に住友瓦棒2型、壁にメタルラスが
ことも考えられる。
公式ガイドに以下の記述が見られる。 使用された。 第 2
「1970年は独立10周年になるので、日本 近代館の円筒は直径7 ~ 8m ほどもあり、 章
組織変更にあたって、従来の統括部は廃止されて本社機構が設置
万国博には特に力を入れています。アフリカ 平面ではなく竹を斜めに切ったような形で 「「
された。従来の営業活動の枠組みを超え、さまざまな企画が誕生す 諸国では独立展示館を建てる数少ない国のひ あったため、作業時は命綱が欠かせなかった。 鉄建
る場として本社機構を育てていこうという狙いがうかがえる。大 とつです。展示館は国名にちなんで象牙を象 また、想定外の場所に雨水が溜まり、完成後も 「
阪での営業組織は、本社とは独立した大阪営業所営業部という形を 徴するものです。高さ8m から30m の三つの 度々補修を行った。 挑戦
とった。
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