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Chapter 2
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沿革編 沿革編
第 章 2001 2016 ケー鋼板株式会社が合併して JFE 鋼板株式会社が設立された。
(平成 28)年
(平成 13)年
JFE 鋼板の誕生は、当社の事業にもさまざまな変化をもたらした。
と グ 環 境 ロ の ム 代 時 バ ー ズ リ 片山隆之の社長就任 まず、商社間の競争が激化したことが挙げられる。
川崎製鉄と日本鋼管の2社が統合されたことで、メーカーは1社
となったが系列商社が減ることはない。川崎製鉄系と日本鋼管系
2002 (平成14) 年2月、当社では片山栄三会長が名誉会長となり、 の数ある商社が、統合によって同じ商品の販売にしのぎを削る形と
片山茂が会長に、片山隆之が社長に就任した。 なった。統合に伴う組織再編への対応に加え、商社が余ることで相
隆之は当時39歳で、業界では異例の若さでの就任であった。栄 対的にメーカーの力が強くなり、当社においても JFE 鋼板との密接 CHRONICLE
三名誉会長から人事の目的などについて説明はなかったが、茂会長 な関係作りがこれまで以上に求められるようになった。
の体調が優れなかった時期でもあり、将来を見据えた上で後継者育 また、取扱商品にも変化が生じた。
CHRONICLE
川崎製鉄として最初の感謝状(1959 年)
成を望んだものと思われる。 2002年、隆之社長が就任した当時の製品別売上高の比率は、カ Ⅰ
片山栄 そ の 時代 一 と
当社では、それぞれの営業所長に事業を任せ、互いにライバル意 ラー鉄板類が28%、釘・針金などの線材製品が11%、 H 形鋼・丸
識を持たせながら競い合わせた時代が長く続いた。賞与の配分につ 棒など一般鋼材が33%、建材製品などを含むその他製品が28%で、
いても、営業所の業績、すなわち営業所長の手腕によって金額が左 カラー鉄板を中心とする亜鉛鉄板に関しては、薄物を軸足に取り
右されるシステムとなっていたため、営業所長は文字どおり一国一 扱っていた。亜鉛鉄板の世界では、厚さ0.4mm 以下のものを薄物、
城の主のような存在であった。それは、地域の情報を握る者がその 0.5mm 以上のものを厚物と呼んでいるが、そのうち、川鉄鋼板は利 Ⅱ
大阪 へ 本全国 ら か 日
地域を制するという、当時の世相を反映した思考であったとも言え 益率がよい薄物を主に取り扱ってきたため、当社もそれに準じてい
る。 たのである。 1998 年にいただいた感謝状
隆之社長の就任は、そのような当社の在り方に変化をもたらした。 しかしエヌケーケー鋼板が厚物を取り扱っていたこともあり、合
インターネットなどの発達に伴って社会のボーダーレス化が進む 併後の JFE 鋼板は厚物の販売への注力を決めた。そのため、当社も
と、地域内だけではなく、より多角的な視点から判断を下せる人材 厚物への対応が求められることとなった。 Ⅲ
片山鉄建 の 精神
が求められるようになる。そこで隆之は2000年8月に常務に就任 厚物を板金施工会社へ販売する場合は成型品販売が一般的で、業
して以降、人事改革に注力し、ほとんど行われてこなかった営業所 界では成型機を導入して加工を売りにする特約店が大きなシェアを
間の人事異動を積極的に進めていた。 確保していた。これに対して、当社は厚物を取り扱った経験が少な
2001年9月11日には米国で同時多発テロ事件が起こり、世界 かったため、既存の市場に食い込むには、当社自身が加工技術を備 川崎製鉄として最後の感謝状(2002 年)
3 枚いただいたのは当社のみ
的に景気が冷え込んだ。いやが応でも気が引き締まるなかで、隆之 えて特約店の要望に応える必要があった。 2000年代に全国の営業 Ⅳ
社長を中心とする新しい時代が始まった。 所で工場機能が強化され、成型機などの機材が導入されるようにな 近年 片山鉄建 の
るが、それには以上のような背景が存在したのである。
JFE 鋼板の設立
新しい世紀に差しかかる前後には、日産自動車と仏ルノーの資本
提携に見られるように、自動車業界のような安定供給先で市場原理 第
導入の動きが始まり、欧州では世界最大規模の鉄鋼メーカーとなる 2
章
アルセロール・ミッタルが、中国でも新興高炉メーカーが誕生した。
環境 と リ ズ ム バ グ ロ ー
旧態依然とした体制では生き残りが困難となった鉄鋼業界では再編
が進み、川崎製鉄も日本鋼管との事業統合を果たして2002 (平成14)
年9月に JFE ホールディングス株式会社、翌2003年4月に JFE ス
チール株式会社を設立、そして2004年4月には川鉄鋼板とエヌケー 線材製品 鋼板(コイル)製品
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時代
164 ◆ ◆ ◆ THE 100 YEAR HISTORY OF E.KATAYAMA & CO., LTD. ˗ ˗ ˗ 165