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2001 2016
沿革編 沿革編
松戸・浦安の集約と北関東営業所の新工場 に倉庫土間の改装工事を行って加工設備を導入、翌2013年には福
島県を担当エリアに加えて、ゼネコン下請けなどを行う板金店を主
2008 (平成20) 年9月15日には米国の投資銀行リーマン・ブラザー なターゲットとして営業を開始した。また、 2016年9月には事務所
ズが経営破綻し、世界的不況が発生した。このリーマン・ショック の新築と新工場の増設を行い、加工設備をさらに拡充させた。
は当社の業績にも影響を与え、 2009年度の売上は前年比20%減収、
創業以来最大の赤字決算となった。 札幌鉄鋼センターの設備増強と
可変式平成ルーフ「EK-MEN」
関西以西の地域における屋根材は、今日においても瓦が主流であ
北関東営業所の竣工式
る。トタン屋根は、その語感から戦後貧しかった時代のイメージが 吉田鋼機との業務提携による効率的な稼働が実現した札幌鉄鋼セ CHRONICLE
拭いきれないことがその一因であると考えられるが、積雪の多い北 ンターでは、新たな設備増強が進められた。
国では事情が異なり、高級感のある亜鉛鉄板が登場したこともあっ 2009 (平成21) 年7月には平成ルーフとルーフデッキの成型機が
CHRONICLE
て、亜鉛鉄板が個人宅の屋根材としても普及しており、コイルを加 導入されたが、このうち、平成ルーフ成型機は北海道における独自 Ⅰ
片山栄 時代 そ の 一 と
工・販売する特約店が多く見られる。 商品「EK-MEN」の生産を前提に導入された特注品で、従来の平成
しかし、東京などの都市部では、設備を備えている特約店は少な ルーフ (453mm) よりも細い立平葺様式の加工ができるように、働き
い。そこで当社では、成型機メーカー・大阪大栄機械株式会社の協 幅を229mm から453mm まで任意に変えられる。
力を得て、 2009年10月、松戸物流センターに成型機・裏貼りライ 当社は設計折り込みなどの営業活動を通じて、設計事務所と深い
ンなどの機材を導入するとともに、加工のための社員を雇用し、ルー 付き合いがあり、設計をめぐってアイデアの交換を行うことも多い。 Ⅱ
大阪 ら か へ 日 本全国
フ&サイディング事業を推進することにした。 ある時、それまで屋根材のみに使用されていた立平葺様式を壁材に
また、建材需要が縮小するなかで、人件費、在庫運搬コストの削減 使用するというアイデアを試してみたところ、デザイン性に優れて
や作業効率の向上を図る必要性から、松戸と浦安の2カ所に分かれ いるだけでなく、従来技術の転用であることから生産・施工が簡単
ていた東京の在庫・加工拠点を松戸に集約し、浦安営業所は2009 であることがわかった。成型機を可変式にして効率的な板取をすれ
年9月に閉所した。 ば、コスト削減にもなる。そこで、このアイデアを「EK-MEN」の商 Ⅲ
片山鉄建 精神 の
集約にあたっては、松戸物流センターに隣接する JFE 鋼板旧松戸 品名で道内に本格展開することを決めた。
製造所跡地のうち約1,500㎡を賃借して、浦安営業所にあった成型 「EK-MEN」はハゼ高19mm の落差で縦ラインの立体感を強調
機や在庫製品を移設。この際、生産性の向上や取扱品種の拡大を進 したデザインで、標準仕様の働き幅は456mm、 380mm、 278mm、
めるべく屋根材の成型機を10ライン追加して20ライン体制とした 229mm となっているが、それ以外の幅にすることもできる。形状
ことで、加工量は従来の1.5倍程度に増えた。 はリブなし、リブ1段、リブ2段の3タイプで、カラーバリエーション Ⅳ
「EK-MEN」施工例
成型加工品への対応は北関東営業所でも進められ、 2012年10月 も豊富に揃えた。 近年 の 片山鉄建
「EK-MEN」は北海道民に受け入れられ、みるみるうちに普及し
ていった。当社では、専任者を配置して設計事務所への提案営業を
強化したが、成型機の働き幅を動かせば生産できることから、他社
からも追随商品が多く登場することにもなった。
その後、札幌鉄鋼センターは2010年に事務所棟の1階部分を48㎡ 第
増築し、仮設事務所で営業していた吉田鋼機やヤマキ小林札幌営業 2
章
所と一体化、 2012年にはそれまであまり得意とはしていなかった
環境 と ズ ム グ リ バ ロ ー
下地材・断熱材のビジネスを本格化させた。
機材の拡充も進め、 2011年に「EK-MEN」を導入したほか、 2013
年に3t アンコイラーと914幅自動切断機の設備更新、そして2014
北関東営業所及び倉庫 年にはルーフデッキの設備更新を行った。 「EK-MEN」カタログ
「
時代
174 ◆ ◆ ◆ THE 100 YEAR HISTORY OF E.KATAYAMA & CO., LTD. ˗ ˗ ˗ 175