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2001 2016
沿革編 沿革編
東日本大震災のなかで
2011 (平成23) 年3月11日、三陸沖を震源地とした東日本大震災
が発生した。この地震は東北沿岸部を中心に甚大な被害をもたらし、
死者・行方不明者は1万8,000人以上、全壊・半壊家屋は40万2,000
戸以上に上った。当社や仕入先にも被害があり、高さ10m 以上の津
波により仙台の沿岸部にあった JFE 条鋼株式会社・JFE 物流株式
会社のストックヤードが水没したほか、江刺加工センターでは震度 CHRONICLE
5強の揺れにより工場内の設備に故障が発生した。幸いにも当社社
東日本大震災時の東北営業所
員は全員無事であったが、その家族や取引先には痛ましくも犠牲者
CHRONICLE
が出た。 「H ルーフパッコン PV システム」ソーラーパネル施工例 Ⅰ
片山栄 時代 と の そ 一
東京営業所の社員でも多くの帰宅困難者が出て、大変苦労した。
その後、都内でも品物不足、ガソリン不足のなか、業務を行ってきた。 て一過性の様相を呈していたため、本業の延長上に限定した範囲で
地震発生直後には東北6県で約450万戸以上が停電、 19都道県で の研究開発にとどめた。
220万戸以上が断水を起こし、道路も寸断されたため、食糧や生活 その成果として2012年に開発されたのが、既存の「H ルーフ
必需品に不便をきたす生活が長く続いた。当社では救援物資として 600」への直接固定を可能にした「H ルーフパッコン PV システム」 Ⅱ
大阪 日 本全国 へ ら か
カセットコンロやカップ麺などを各営業所から集め、北関東営業所 であった。同システムには、従来品よりもいくつかの点で優れた特
より山形経由で東北営業所、江刺加工センターに届けた。救援物資 長があった。
は震災5日後に到着し、原発事故の影響で復旧が遅れていた福島県
などのお客様にも届けられた。震災から8年が経過し、東北はよう ① コスト削減効果に優れている。 PV パネル本体に装備した金具
やく復興が見えてきたところである。 を使って嵌合式で取り付けるため、施工が簡単で工期を短縮す Ⅲ
片山鉄建 の 精神
東北営業所では今日まで、得意先支援や被災者支援などをしなが ることができた。
ら業務を行ってきた。地元との新しい関係も生まれ、 2014年頃には ② 折板屋根と PV の高さがわずか150mm 程度しかないため、屋
東北の板金大手3社のすべてと直接取引ができる環境が整った。こ 根との一体感が醸し出され、意匠性の高さを実現することがで
れにより競合企業も増えたが、地元と寄り添った事業が実を結び、 きた。
当社の東北地方における知名度は以前と比較して大幅に向上した。 ③ 架台を不要にしたことにより、設置する重量を抑えることがで Ⅳ
きた。 近年 の 片山鉄建
ソーラープロジェクトチームの発足
同システムに用いる金具については、 JFE 鋼板の協力を得て強度
東日本大震災による被害は、建物の補修や金属屋根の葺き替え需 試験を実施した上で、自社においても施工試験を実施して信頼性を
要を喚起するきっかけとなった。また、震災によって東京電力福島 確認した。
第一原子力発電所の事故が発生したことから、原発に代わるクリー また札幌営業所でも、 2012年に独自商品「無落雷屋根用 PV シ 第
ンエネルギーとして太陽光発電に対する注目が高まった。 ステム」を販売して、一戸建てにおける太陽光発電の普及に取り組 2
章
金属屋根一体型太陽電池モジュールである「エコウィング」の販売 んだ。
と グ ロ 環境 バ ー リ ム ズ
などで太陽光発電関連の販売に実績のある当社は、 2011 (平成23) 年
8月に「ソーラープロジェクトチーム」を立ち上げてさらなる販売強
化を図るとともに、新商品開発に向けた研究を行った。ただし、当時
は太陽光発電をめぐる全量買取制度を背景とした販売競争が激化し
「
時代
176 ◆ ◆ ◆ THE 100 YEAR HISTORY OF E.KATAYAMA & CO., LTD. ˗ ˗ ˗ 177