Page 99 - 00_片山鉄建様_表紙
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Special T alks
                                                                                                                                                                                  「長 歴史 の た い い と な ろ が こ あ っ ょ し で 」 ね う は に ろ い          0 1 0

              ブロク板 (3尺×6尺:914mm×1,829mm) の                         であり、商売であると思っていた。そのことを                                                「筋の通らない話は聞けない」と
               板厚31番 (0.27mm) が一番よく売れました                           通じて人びとの暮らしを変えることになれば                                                  メーカーの圧力にも屈さず                                                                                      周年記念特集
               ね。用途は屋根板だった。先ほど言ったよう                                いいんですよ。雪の多い地域でのトタン屋根
               に、雪を屋根に積もらせず、滑り落ちやすくす                               が果たした役割を思えば明らかだと思いま                                                 片山 ● 創業から100年の歴史があるわけで

              るためですよ。                                              す。「売ればいい」というものじゃないんです                                               すから、その間にはいろいろなことがありまし                                                                                Ⅰ
                  かつて雪国では藁屋根を葺いていた家が                               よ。いい製品を売りたい、それを地方に届け                                                た。その一つが「ハンスト」事件です。ハンスト
               多かったけれど、ほとんどがトタン屋根になっ                               たい。片山商店が問屋としてやるべきことは                                                といっても皆さんが連想されるような座り込み
               た。豪雪地帯とも言われる北海道から東北                                 果たしたと思いますね。                                                         とか、絶食をするというものではありませんよ。
               の青森から秋田にかけての家々も、みんなト                                ―― 具体的な営業活動はどのように?                                                  ―― どのような動きがあったのですか?


              タン屋根。今でもそうですよ。                                       片山 ● 例えば秋田でトタン板を一番売って                                               片山 ● 背景には、1954 (昭和29) 年に川鉄                                                                         SPECIAL TALKS

               福島 ● 北海道でも、ほぼすべてがカラーの                               くれる店はどこだろうと考え、その店を探し                                                商事 (現・JFE商事) という会社ができたこと
              トタン屋根です。きれいだしね。                                      出してそこで買ってもらいます。最初は10t                                               があると思いますね。この会社は川鉄の専属

               片山 ● 営業で31番のサブロク板で「赤鳩」                              程度ですが、それが売れると次は15t、さら                                               問屋だった摩耶興業、青山特殊鋼、新庄鋼
               の製品を持っていくと、東北の販売店では「う                               には20tと量も増えていく。トタン板が売れ                                               材の3社が合併して設立されました。合併し
              ちはおじいさんの代から赤鳩印のトタン板を                                 たら今度は釘や針金などの建材関連製品も                                                 たのは西山社長の「小さい会社のままではダ
               扱っています」と言ってくれるところもありまし                              買ってくれるようになる。一種の連鎖が生ま                                                メだ」「世界的な高炉メーカーになるために、
               た。片山商店は、そうした販売店に亜鉛鉄板                                れるんですね。それを掘り起こすのが我々の                                                一つになって川鉄製品を売れ」という意向を                            つ 一 『 が 件 事 で 。 す ン ハ ス 』 ト の ら れ 忘 れ 」 い な そ こ 「 は れ
              を売り込んだ。それで東日本の商売が増え、                                 営業活動でした。                                                            受けたものです。これを機に同社が川鉄製品

               営業エリアの拡がりとシェアの確保につな                                 福島 ● それを支えたのは、メーカーの製品                                               を売ることになり、片山商店が扱っていた分
               がったんですよ。                                            品質、問屋としてのサービスとデリバリーも含                                               野に突如参入することになった。                                      もその時1回だけでした。川鉄の鋼板製造ラ

               ―― 当時の在り方としては片山商店が一次問                               めたお互いの信頼関係でしょうね。それがど                                                福島 ● それは大変だ。                                         インの現場では賛否があったみたいだけど、

                   屋ですが、市場を拡げるために地方の二                              う評価されたか、ということが今の状況から                                                片山 ● そうでしょう?(笑) 。その時に言わ                              それよりは川鉄商事をバックアップしようとい
                   次問屋との結びつきを深めることになった                             わかるかと思います。そのようなことをしなが                                               れたのがペーパーマージン、つまり、実際に                       福 島       うことになりました。

                   んですね。                                           ら、建材など我々の手の届くものを売ってい                                                取引活動をしていないのに、伝票上だけで業                                 福島 ● 厳しい対応ですが、会社としては当
               片山 ● 片山商店が地方にある二次問屋の                                くんですね。                                                              務を行ったことにしようという提案でした。で                                然だったかもしれませんね。

               意向を受けるということは、反面では製品を                                片山 ● 商売の繁栄には、さまざまな努力が                                               は、どこに支払いをするのかといえば、形式                                 片山 ●  でもね、そうで あったらone of


               安く売ることにもなる。それはメーカーである                               ある、ということですよね。そうして川鉄グルー                                              上では川鉄商事です。前の年に創業者の片                                  themという形で片山商店が取り込まれてし
               川鉄さんとしては歓迎することではありませ                                プが片山商店の事業活動の柱となっていき、                                                山栄一が亡くなっており、新しく社長になっ                                 まう。それを受け入れることはできません。
               んね。でも安く商品を仕入れ、それを適正価                                今でもそれが続いています。取引の開始以                                                 たのが私の兄の片山栄三。兄は、筋の通ら                                  一企業としては当たり前のことですよ。一方
               格で大量に売るというのが片山商店の仕事                                 来、それは変わりありません。                                                      ない話は聞けないと強く反発し、乗添常務に                                 で、片山商店を川鉄商事にくっつけるという
                                                                                                                                       食ってかかった。乗添さんに噛みつく川鉄の                                 話があった。そこで当社が「言うことは聞けな
                                                                                                                                       問屋なんて、日本国中を探しても見当たらな                                 い」と言ったら、毎月買っていたものが急に止
                                                                                                                                       い。それほど力のある人だったのですが、兄                                 められた。顧客に納品寸前の段階で入って
                                                                                                                                       は戦った。当然のことですよ。                                       こなくなったからキツイ。主力製品だけじゃな
                                                                                                                                       ―― それが「ハンスト」事件につながったという                              く、特殊な板まで出荷してくれなくなったんで
                                                                                                                                            わけですか。                                          すね。

                                                                                                                                       片山 ● そう。川鉄サイドにも、圧力をかけれ                               ―― 出荷停止の期間はどれくらいですか?
                                                                                                                                       ば片山商店は言うことを聞くというか、大きな                                片山 ● 8カ月近く続きましたね。結局、栄三

                                                                                                                                       問題は起きないだろうと思ったんでしょうね。                                社長がある日偶然、芦屋駅のホームで川鉄
                                                                                                                                       しかし、こちらとしては「はい、わかりました」と                              の西山社長と出会って、西山さんに商売の状
                                                                                                                                       いうわけにはいきません。そこで乗添常務の                                 況を聞かれ、兄は正直に「いやあ、川鉄さん                           記念対談
                                                                                                                                       指示で、川鉄から片山商店向けの鋼板出荷                                  が全然売ってくれないので、えらい難儀して
                                                                                                                                       が全面的にストップした。                                    片山   いるんですわ」と答えた。すると「えっ、そんな
                                                                                                                                       ―― ええ? 本当ですか。                                        ことになっているんですか?」と西山さんのほ
                                                                                                                                       片山 ● 出荷がストップしたのは、後にも先に                               うがびっくりしたんですね。




        194  ◆  ◆  ◆                                                                                                                                                                         THE 100 YEAR HISTORY OF E.KATAYAMA & CO., LTD.   ˗  ˗  ˗  195
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